2020/5/13(金)、BCGワクチンとSARS-CoV-2の関係について調べたイスラエルの研究「SARS-CoV-2 Rates in BCG-Vaccinated and Unvaccinated Young Adults」の結果をまとめました。

2020/5/13(金)、BCGワクチンとSARS-CoV-2の関係について調べたイスラエルの研究「SARS-CoV-2 Rates in BCG-Vaccinated and Unvaccinated Young Adults」の結果をまとめました。COVID-19の確定例、死亡率は国よって異なっています。一つの理由として、小児期のBCGワクチン政策の可能性があり、BGCワクチンを全国でカバーしている国では確定例、死亡率ともに低い傾向にあります。各国間のアウトブレイクの特徴を比較するためには、アウトブレイクのフェイズの違い、人口の平均年齢、パンデミックの管理、入国時の検査、COVID-19関連死亡の定義、報告の漏れ等の交絡因子の可能性による影響を考慮する必要があります。イスラエルでは、1955年から1982年まで、全国免疫プログラムの一部として全ての新生児にBCGワクチンが一律に接種されました。全体的にイスラエルではワクチンの許容性が高く、90%以上をカバーしていました。1982年からはBCGワクチンは結核の有病率が高い国からの移民のみに限定されました。このような変化から、BCGワクチンプログラムの中止から前の3年間と後の3年間に出生した人口集団とで、BCGワクチンの接種状態の違いがあることで、COVID-19の重症化率、感染率を比較することが出来ました。(中略)
結果、72060例の検査をレビューしました。3064例は1979年から1981年までの間に生まれており、平均年齢40歳でした。2869例は1983年から1985年までの間に生まれており、平均年齢35歳でした。検査結果陽性の確率は、BCGワクチン接種群と非接種群との間で有意差(11.7% vs 10.4% 差 1.3% 95%CI −0.3% to 2.9% P = .09)を認めませんでした。人口1000000人あたりの検査結果陰性の確率においても有意差(121 vs 100 差 21 95% CI, −10 to 50 per 100 000; P = .15)を認めませんでした。いずれも各1例、重症化し、機械的換気、集中治療室に入院した例がありましたが、死亡例は報告されていませんでした。(中略)
結論としては、今回の研究から小児期のBCGワクチンが成人後のCOVID-19に対して防御的に働くという仮説を支持する証拠は見付かりませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182
全文ではなく要点のみ抜粋して和訳しました。BCGワクチンにSARS-CoV-2の予防効果があるという説があり、BCGワクチンが結核以外の肺炎を減らす効果があるという報告があり、ある程度信じていたのですが、否定的であるというイスラエルからの報告です。ではどうして国によってここまで死亡率に差があるのかという疑問は残るのですが、現時点では明確な理由はわかっていません。


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