2020/5/13、SARS-CoV-2暴露からの時間経過と逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応の偽陰性率を検証した研究「Variation in False-Negative Rate of Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction–Based SARS-CoV-2 Tests by Time Since Exposure」の結果をまとめました。

2020/5/13、SARS-CoV-2暴露からの時間経過と逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応の偽陰性率を検証した研究「Variation in False-Negative Rate of Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction–Based SARS-CoV-2 Tests by Time Since Exposure」の結果をまとめました。SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)の検査として、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcriptase polymerase chain reaction: RT-PCR)は、医療従事者や接触者等のハイリスク者の感染の「除外」に使われていますが、検査陰性だった場合に、間違った解釈を避けるためには、暴露、症状の発症からの時間経過と検査値の予測値を理解しておくことが大切です。感染からの日数経過と偽陰性率(false-negative rate)を評価するために、文献レビュー、蓄積研究を実施しました。上気道からの検体合計1330例を用いてSARS-CoV-2の暴露、症状発症からの時間経過と、RT-PCRのデータについて発表された研究が7つ見つかりました。ベイズ階層モデルにて、暴露、症状発症からの日数と偽陰性率を評価しました。結果、症状発症までの典型的な時間は、感染から4日間でした。感染1日目における偽陰性率は100%(95% CI, 100% to 100%)、4日目には67%(CI, 27% to 94%)まで低下しました。症状発症日の平均偽陰性率は38%(CI, 18% to 65%)でした。8日目、症状発症から3日目には20%(CI, 12% to 30%)に低下しました。9日目には21%(CI, 13% to 31%)、21日目には66%(CI, 54% to 77%)と再び上昇しました。研究デザインの異質性が背景にあるため正確性の推定には限界はあります。SARS-CoV-2感染のRT-PCR検査の解釈において、特に感染から経過が早期の場合には注意を要するべきです。バイアスのある結果に基づいて、二次感染を防ぐための防護策を解除してしまう可能性があるからです。臨床的に疑いが高い場合には、RT-PCRの結果だけに基づいて除外することは避けるべきで、臨床的、疫学的状況も含めて注意深く判断すべきでしょうと論文ではまとめています。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-1495
PCR法の検査の精度が十分ではないことは以前から指摘されていますが、それが時間ともに変化するという報告です。偽陰性率、病気が存在するのに間違って陰性と判定してしまう確率、見逃しの確率は、最小でも20%程度あり、最大では100%であったとのことです。少なくとも20%は見逃してしまう検査ということを理解しておくことが重要です。


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