2020/3/20、非アルコール性脂肪性肝疾患の有病率、転帰について調べた研究「Global prevalence, incidence, and outcomes of non-obese or lean non-alcoholic fatty liver disease: a systematic review and meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/3/20、非アルコール性脂肪性肝疾患の有病率、転帰について調べた研究「Global prevalence, incidence, and outcomes of non-obese or lean non-alcoholic fatty liver disease: a systematic review and meta-analysis」の結果をまとめました。非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)は慢性肝疾患として全世界で多いです。広いアジア地域にて、肥満の有病率、社会経済的状況にはばらつきがありあす。アジアにおける非アルコール性脂肪性肝疾患の有病率、発症率、転帰を評価し、非アルコール性脂肪性肝疾患の疾病負荷(disease burden)についてステークホルダーに理解を補助します。PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryにて、2019年までに、アジアにおける非アルコール性脂肪性肝疾患のデータを収集しました。画像診断、血清バイオマーカー、肝生検によって非アルコール性脂肪性肝疾患の確定診断がされている断面横断研究、長期観察研究のみを抽出しました。他の肝疾患、アルコール性肝疾患のスクリーニングがされていないものは除外しました。2つの独立した研究がスクリーニング、追加データを収集していました。主要転帰は累積の非アルコール性脂肪性肝疾患の有病率、肝細胞癌、全死亡としました。無作為化影響モデルを使用して計算しました。「PROSPERO」研究、4995本の論文を特定、237本の研究、13044518例のデータを解析しました。非アルコール性脂肪性肝疾患の全体の有病率は29.62%(95% CI 28·13-31·15)、非アルコール性脂肪性肝疾患の有病率は有意に増加傾向(25.28% [22·42-28·37] between 1999 and 2005, 28·46% [26·70-30·29] between 2006 and 2011, and 33·90% [31·74-36·12] between 2012 and 2017; p<0·0001)を認めました。累積の年間の発症率は1000人年中50.9(95% CI 44·8-57·4)でした。非アルコール性脂肪性肝疾患のうち、年間の肝細胞癌の発症率は1000人年中1.8例(0·8-3·1)、全死亡率1000人年中5·3(1·5-11·4)でした。アジアにおける非アルコール性脂肪性肝疾患は増加傾向で、肝細胞癌、死亡、不良転帰と関連していました。ターゲットを絞った公衆衛生戦略がアジアにおいて必要で、肥満、高齢男性等ハイリスク群への疫学的介入が重要であると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/langas/article/PIIS2468-1253(19)30039-1/fulltext
非アルコール性脂肪性肝疾患は、アルコール性肝疾患、ウイルス性肝疾患の次に多い肝疾患で、肥満、高脂肪食、運動不足等の生活習慣が原因です。非アルコール性脂肪性肝疾患も肝細胞癌の原因になることはあまり知られていないかも知れません。治療、予防は薬物療法というよりは、食事、運動等の生活習慣がメインです。


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