2020/5/22、睡眠習慣の長期パターンと心血管イベントリスク、全死亡の関係を調べた研究「Association of Longitudinal Patterns of Habitual Sleep Duration With Risk of Cardiovascular Events and All-Cause Mortality」の結果をまとめました。

2020/5/22、睡眠習慣の長期パターンと心血管イベントリスク、全死亡の関係を調べた研究「Association of Longitudinal Patterns of Habitual Sleep Duration With Risk of Cardiovascular Events and All-Cause Mortality」の結果をまとめました。睡眠時間と有害健康転帰は関連を認めますが、睡眠時間の長期パターンと心血管事象、全死亡の関係は十分にわかっていません。長期の軌跡と心血管事象、全死亡との関係を調べるために、2006年から前向きコホート研究「Kailuan study」を実施しました。2010年までに、中国にて、心房細動、心筋梗塞、脳卒中、がんの既往のない52599例が参加しました。2006年から2010年までの睡眠時間の軌跡、2010年から2017年までの心血管事象、全死亡を追跡しました。夜間の睡眠時間の習慣は2006年、2008年、2010年に自己申告にて収集しました。睡眠時間の軌跡は4つのパターンに分類されました。2010年から2017年の間、全死亡、心血管事象(心房細動、心筋梗塞、脳卒中)の発症は電子カルテ記録から収集されました。ベースラインの睡眠時間、変化のパターンとして、4つの軌跡、正常で安定(normal stable)、正常から減少(normal decreasing)、低値から増加(low increasing)、低値で安定(low stable)に分類されました。結果、52599例、ベースラインの平均年齢52.5歳、男性40087例(76.2%)、女性12512例(23.8%)、4つの睡眠時間軌跡パターンは、正常で安定40262例(range, 7.4 to 7.5 hours)、正常から減少8074例(mean decrease from 7.0 to 5.5 hours)、低値から増加3384例(mean increase from 4.9 to 6.9 hours)、低値で安定879例(range, 4.2 to 4.9 hours)でした。平均6.7年間の追跡の結果、死亡2361例、心血管事象2406例発生しました。交絡因子調整後、正常で安定(normal-stable)の睡眠パターンと比べて、低値から増加(low-increasing)パターンは心血管事象リスク増加(hazard ratio [HR], 1.22; 95% CI, 1.04-1.43)と関連、正常から減少(normal-decreasing)パターンは全死亡リスク増加(HR, 1.34; 95% CI, 1.15-1.57)と関連、低値で安定(low-stable)パターンは心血管事象(HR, 1.47; 95% CI, 1.05-2.05)、死亡(HR, 1.50; 95% CI, 1.07-2.10)、両方のリスク増加と関連を認めました。低値で安定パターンの睡眠時間の軌跡は、心血管事象、死亡率リスク増加と有意な関連を認めました。長期の睡眠時間パターンは積極的に介入をすべきハイリスク群の特定に役立つ可能性があります。睡眠時間が毎晩5時間未満の群は心血管事象、死亡率のハイリスク群として認識すべきであると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2766231
睡眠時間の年単位の変化のパターンを4パターンに分類、心血管疾患、死亡率との関係を分析したところ、睡眠時間が5時間未満の低値で安定(low-stable)パターンは、7時間以上の正常で安定(normal-stable)パターンと比べて、心血管疾患47%増加、死亡率50%増加と、有意差を認めたとの報告です。確かに、睡眠時間5時間未満が続くと身体に無理が掛かっているのを実感します。たまに睡眠時間が少ないことを自慢気に公言する人がいますが、やはり十分な睡眠時間を確保することが健康には大切ということです。


PAGETOP