2020/4/14、経皮的冠動脈形成術後の長期転帰の男女差について調べた研究「Long-Term Outcomes in Women and Men Following Percutaneous Coronary Intervention」の結果をまとめました。

2020/4/14、経皮的冠動脈形成術後の長期転帰の男女差について調べた研究「Long-Term Outcomes in Women and Men Following Percutaneous Coronary Intervention」の結果をまとめました。経皮的冠動脈形成術後の転帰の男女差について、経皮的冠動脈形成術後5年間の心血管転帰と性別関連リスクを調べました。PCIに関する21の無作為化試験、性別と5年間の主要有害心血管事象(心臓死、心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)との関連データ、個別データを収集しました。結果、32877例、女性9141例(27.8%)、女性は男性と比べて、高齢、BMI高値、高血圧、糖尿病の合併率が高く、経皮的血行再建または外科的血行再建の既往が少ない傾向にありました。血管造影集中施設解析にて、比較的病変は小さく、病変長は短い傾向にありました。5年間で、女性は男性に比べて、主要有害心血管事象(18.9% vs. 17.7%; p = 0.003)、全死亡(10.4% vs. 8.7%; p = 0.0008)、心臓死(4.9% vs. 4.0%; p = 0.003)、虚血による標的血管の血行再建(10.9% vs. 10.2%; p = 0.02)で有意差を認めました。多変量解析の結果、女性は主要有害心血管事象(HR: 1.14; 95% CI: 1.01 to 1.30; p = 0.04)、虚血による標的血管の血行再建(HR: 1.23; 95% CI: 1.05 to 1.44; p = 0.009)の独立した予測因子でしたが、全死亡(HR: 0.91; 95% CI: 0.75 to 1.09; p = 0.30)、心臓死(HR: 0.97; 95% CI: 0.73 to 1.29; p = 0.85)は有意差を認めませんでした。PCIに関する大規模な試験の分析の結果、経皮的冠動脈形成術後5年間の追跡期間、女性は男性と比べて、主要有害心血管事象、虚血による標的血管の血行再建のハイリスクであることが明らかになりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32273029
冠動脈疾患の発症リスクとしては男性のほうが多いですが、経皮的冠動脈形成術後の再発リスクとしては女性のほうが大きいという報告です。年齢、BMI、高血圧、糖尿病などが関係しているのかも知れません。アドヒアランス面で大きな差があるようには実臨床上は感じていません。


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