2020/5/29、糖尿病におけるCOVID-19の特徴と予後について調べた研究「Phenotypic characteristics and prognosis of inpatients with COVID-19 and diabetes: the CORONADO study」の結果をまとめました。

2020/5/29、糖尿病におけるCOVID-19の特徴と予後について調べた研究「Phenotypic characteristics and prognosis of inpatients with COVID-19 and diabetes: the CORONADO study」の結果をまとめました。COVID-19はSARC-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus-2)による生命を脅かす感染症です。糖尿病は重症化の大きな基礎疾患の一つとして強調されましたが、COVID-19における糖尿病の特徴は十分にわかっていません。フランスの53施設にて、2020/3/10から3/31まで糖尿病でCOVID-19入院例について全国多施設観察研究を実施しました。一次転帰は、機械換気のための気管挿管、入院後7日間以内の死亡の複合としました。年齢、性別調整後、多変量ロジスティック回帰にて、転帰の臨床的、生物学的特徴、予測値を評価しました。オッズ比、標準化後の標準偏差を算出しました。結果、1317例、男性64.9%、平均年齢69.8歳、平均BMI 28.4(25-75%タイル 25.0-32.7)、88.5%は以前に2型糖尿病と診断を受けていました。糖尿合併症として微小血管性(microvascular)46.8%、大血管性(macrovascular)40.8%を認めました。一次転帰は29.0%(95% CI 26.6, 31.5)に発生、死亡10.6%(9.0, 12.4)、7日間以内の退院は18.0%(16.0, 20.2)でした。一変量解析では、一次転帰に有意に関連する特徴は、性別、BMI、過去のレニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害薬の治療歴で、年齢、糖尿病のタイプ、HbA1c、糖尿病性合併症、血糖降下療法は関連はありませんでした。多変量解析の結果、入院前の変数で一次転帰に正の相関を認めるものはBMI(OR 1.28 [1.10, 1.47])のみでした。入院時、呼吸困難(OR 2.10 [1.31, 3.35])、リンパ球数(OR 0.67 [0.50, 0.88])、CRP値(OR 1.93 [1.43, 2.59])、AST値(OR 2.23 [1.70, 2.93])は一次転帰の独立した予測因子でした。最終的には、年齢(OR 2.48 [1.74, 3.53])、閉塞性睡眠時無呼吸(OR 2.80 [1.46, 5.38])、微小血管障害(OR 2.14 [1.16, 3.94])、大血管合併症(OR 2.54 [1.44, 4.50])は、7日間以内の死亡リスクの独立した関連因子でした。糖尿病でCOVID-19入院例において、BMIは、長期の血糖コントロールとは関係なく、気管挿管、7日以内の死亡の独立した関連因子でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32472191
糖尿病においてBMIが重症化、死亡率のリスク因子であったというフランスからの報告です。他にも、閉塞性睡眠時無呼吸、糖尿病合併症として微小血管障害、大血管障害が関連因子だったとのことで、肥満による換気障害、もともとの血管合併症の程度が関連しているのではないかと考えられます。感染対策と同時に、体重コントロール、糖尿病合併症の予防が重要です。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202006/565901.html


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