2020/5/20、COVID-19と脳卒中の発症から病院到着時間の遅延についての研究「Delays in Stroke Onset to Hospital Arrival Time During COVID-19」の結果をまとめました。

2020/5/20、COVID-19と脳卒中の発症から病院到着時間の遅延についての研究「Delays in Stroke Onset to Hospital Arrival Time During COVID-19」の結果をまとめました。COVID-19のパンデミックは全世界の医療危機をもたらし、救急医療の現場も混乱に陥っています。香港、包括的脳卒中センターにて、COVID-19で到着が遅れ、急性脳卒中搬送サービスに影響が出ているかどうかを調べるために、2020/1/23から2020/3/24まで、香港で最初にCOVID-19診断例が発生してから60日間、クイーン・メアリー病院の急性脳卒中パスにて、一過性脳虚血発作、脳卒中で入院例を対象に後ろ向きレビューを実施しました。脳卒中の発症から病院到着までの時間(onset-to-door time)を、前年度の同時期、2019/1/23から2019/3/24の入院例と比較しました。結果、2020年度73例、2019年度89例を比較しました。年齢、性別、血管危険因子、脳卒中の重症度は2群間で有意差(P>0.05)はありませんでした。脳卒中発症から病院到着までの時間の平均は、1時間近く延長しており有意差(154 versus 95 minutes, P=0.12)を認めました。発症から4.5時間以内に病院到着した割合も有意に低下(55% versus 72%, P=0.024)を認めました。一過性脳虚血発作クリニック(transient ischemic attack clinic)への紹介は増加しなかったにも関わらず、一過性脳虚血発作で受診した例は有意に減少(4% versus 16%, P=0.016)しました。入院中の脳卒中パス、治療時間基準は両群間で差(P>0.05 for all comparisons)を認めませんでした。COVID-19の初期の封じ込め期(containment phase)において、脳卒中発症から病院到着までの時間は延長し、一過性脳虚血発作、脳卒中にて4.5時間以内に到着の割合は有意に低下しました。COVID-19パンデミック期においても、脳卒中に関する公衆衛生教育は継続するべきであると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32432998
COVID-19の初期の時期に脳卒中で病院へ到着が遅れていたという香港からの報告です。4.5時間以内かどうかになぜこだわるかというと、4.5時間以内であれば血栓溶解療法の適応を考慮出来るかも知れないからです。脳卒中も急性心筋梗塞も遅れれば遅れるほど治療効果は下がってしまいます。日本はCOVID-19で死亡例はある程度押さえ込めていますが、他の病気で助かるはずの病気の治療が遅れることは避けなければなりません。


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