2007/6/29、禁煙外来における禁煙補助薬「バレニクリン」(α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体部分的作動薬)の有効性と忍容性について調べた日本の研究「Efficacy and Tolerability of Varenicline, an alpha4beta2 Nicotinic Acetylcholine Receptor Partial Agonist, in a 12-week, Randomized, Placebo-Controlled, Dose-Response Study With 40-week Follow-Up for Smoking Cessation in Japanese Smokers」の結果をまとめました。

2007/6/29、禁煙外来における禁煙補助薬「バレニクリン」(α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体部分的作動薬)の有効性と忍容性について調べた日本の研究「Efficacy and Tolerability of Varenicline, an alpha4beta2 Nicotinic Acetylcholine Receptor Partial Agonist, in a 12-week, Randomized, Placebo-Controlled, Dose-Response Study With 40-week Follow-Up for Smoking Cessation in Japanese Smokers」の結果をまとめました。バレニクリン(Varenicline)は、選択的α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体の部分的作動薬(partial agonist)で、禁煙外来のために開発されました。日本では2007年当時、男性の39.3%が喫煙者であり、重大な公衆衛生学的課題でした。一次目標は、日本の喫煙者において、バレニクリンの有効性、量反応関係を評価することです。二重盲検プラセボ対照無作為化並行群研究にて、バレニクリン0.25mg 2T、0.5mg 2T、1mg 2Tまたはプラセボを12週間投与、治療後のフォローアップ期間として40週間追跡しました。一次有効性評価は禁煙継続率(continuous abstinence rate: CAR)で、puffも含む喫煙の報告がないこと、他のニコチン使用がないこと、呼気最終一酸化炭素値またはタバコ依存性スクリーニングにて証明されることとし、一次解析群を継続しました。男性385例(74.8%)、平均年齢39.0歳から40.2歳、治療群において、過去30日間の喫煙の平均本数は1日23.1本から24.9本、ニコチン依存性Fagerstromテスト(Fagerstrom Test for Nicotine Dependence: FTND)は5.4点から5.7点の範囲内でした。9週から12週時点における禁煙継続率は、バレニクリン群の全ての投与量において、プラセボ群と比べて有意に高率(39.5% 51/129)でした。禁煙継続率が最も高かった投与量はバレニクリン1mg 2Tで、65.4%(85/130)、有意差(odds ratio [OR] [95% CI] = 2.98 [1.78-4.99]; P < 0.001)を認めました。9週間後から52週間後までの禁煙継続率はバレニクリン1mg 2T群はプラセボ群と比べて有意に高値(34.6% [45/130] vs 23.3% [30/129]; OR [95% CI] = 1.81 [1.04-3.17]; P = 0.036)でした。9週間後から24週間後における禁煙継続率は、バレニクリン0.25mg 2T群33.6%(43/128)、0.5mg 2T群35.2%(45/128)、1mg 2T群37.7%(49/130)で、9週間後から52週間後では、0.25mg 2T群27.3%(35/128)、0.5mg 2T群28.9%(37/128)で、プラセボと比較(29.5% [38/129] for weeks 9-24 and 23.3% [30/129] for weeks 9-52)有意差には至りませんでした。治療関連緊急有害事象は、バレニクリン群(79.1% [121/153] at 0.25 mg BID, 80.6% [125/155] at 0.5 mg BID, and 80.1% [125/156] at 1 mg BID)はプラセボ群(71.4% [110/154])と比べて多く認めました。バレニクリン1mg 2T群における頻度の多い治療関連有害事象の3つは、鼻咽頭炎(35.9% [56/156])、吐気(24.4% [38/156])、頭痛(10.3% [16/156])で、いずれも軽度から中程度に留まっていました。吐気は投与量と関連(7.2% [11/153] at 0.25 mg BID, 9.7% [15/155] at 0.5 mg BID, and 24.4% [38/156] at 1 mg BID) versus placebo (7.8% [12/154])を認めました。バレニクリンは禁煙外来の後半4週間、治療後40週間以上の長期の追跡においても、容量依存的に禁煙継続率を改善しました。最も有効性の高い投与量はバレニクリン1mg 2Tでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17692720
禁煙補助薬バレニクリン(チャンピックス)の日本における許可にもととなった試験です。この試験の結果をもとに、チャンピックスの投与量が現在の禁煙外来のやり方が定められました。12週間後時点の禁煙継続率65.4%、52週間後時点の禁煙継続率34.6%とのことで、逆に言えば、禁煙外来終了時には2/3近くが禁煙成功出来ますが、一年間後まで禁煙継続を出来ているのは1/3ちょっとしかいないというなんとも悲しい結果です。


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