2020/5/21、創薬において機械学習で主要な心毒性を予測可能か調べた研究「Dual Transcriptomic and Molecular Machine Learning Predicts all Major Clinical Forms of Drug Cardiotoxicity」の結果をまとめました。

2020/5/21、創薬において機械学習で主要な心毒性を予測可能か調べた研究「Dual Transcriptomic and Molecular Machine Learning Predicts all Major Clinical Forms of Drug Cardiotoxicity」の結果をまとめました。コンピュータ解析によって心毒性(cardiotoxicity)の特定等の課題を解決することで、創薬パイプラインの生産性の向上につながる可能性があります。6種類の薬剤起因性心毒性について、転写(transcriptional)、分子(molecular)プロファイルの大規模データセット(薬剤関連1131例、35%は既知の心毒性、9933サンプル)を機械学習アプローチにて、心毒性との関係を解析しました。アルゴリズムは一般的に、独立した薬剤データセットにて検証(validation)を行い、交差検証(cross-validation)を追加しました。予測率は、6種類の心毒性タイプの検証において、安全か危険かの曲線下面積の平均精度79%、未知の薬剤においては66%に達しました。薬剤特異的な個別の心毒性タイプは、未知の抗炎症薬による心臓の障害兆候、症状(80%)、未知の抗がん薬による心不全(76%)、と高い精度で予測可能でした。「ToxS」(Drug Toxicity Signature Generation Center)からの臨床における薬剤毒性情報では、既知の薬剤72%、未知の薬剤60%と、同様の精度で予測可能でした。複数の薬剤の有害影響をヒトの臓器で一覧的に検索する方法によって、心毒性、組織特異的な副作用等も明らかになる可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32508633
最近話題のAI創薬関連の論文です。薬剤開発のステップで常に問題になる副作用のうち、心臓への悪影響、心毒性を機械学習で予測する取り組みです。既知の薬剤79%、未知の薬剤66%程度の精度で予測が可能であったという報告です。勿論、100%の予測は難しいですが、臨床試験のステップの前に有害である可能性の高い薬剤候補を特定出来ることは有用です。


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