2020/5/20、中年期の最大運動負荷に対する血圧反応と将来の心血管転帰との関係を調べた研究「Association of Blood Pressure Responses to Submaximal Exercise in Midlife With the Incidence of Cardiovascular Outcomes and All-Cause Mortality: The Framingham Heart Study」の結果をまとめました。

2020/5/20、中年期の最大運動負荷に対する血圧反応と将来の心血管転帰との関係を調べた研究「Association of Blood Pressure Responses to Submaximal Exercise in Midlife With the Incidence of Cardiovascular Outcomes and All-Cause Mortality: The Framingham Heart Study」の結果をまとめました。中年期の中程度の運動に対する血圧反応とその後の心血管疾患、死亡率との関係は十分にわかっていませんでした。「Framingham Offspring Study」の参加者、1993例、平均年齢58歳、女性53.2%、7回調査を実施しました。最大運動負荷に対する血圧と心血管疾患との関係を多変量線形回帰モデルにて解析しました。また、最大運動不可に対する血圧反応と、高血圧、心血管疾患、全死亡の発症率をCox比例ハザード回帰モデルにて解析しました。運動時の血圧の上昇は標準偏差ごとに、左室重量の対数換算の高値(systolic blood pressure [SBP], β=0.02, P=<0.001; diastolic blood pressure [DBP], β=0.01, P=0.004)、頸動脈内膜中膜肥厚体厚( and carotid intima‐media thickness (SBP, β=0.08, P=<0.001)と関連していました。血圧回復の速さ(per 1 SD increment)は、左室重量の対数換算の低値(SBPrecovery; β=−0.03, P=<0.001)、頸動脈内膜中膜肥厚体厚(SBPrecovery, β=−0.07, P=0.003; DBPrecovery, β=−0.09, P=0.003)と関連していました。さらに、運動時の血圧の上昇は標準偏差ごとに、高血圧の発症リスクの高値(SBP, hazard ratio [HR], 1.40; 95% CI, 1.20–1.62; DBP, HR, 1.24; 95% CI, 1.11–1.40)、心血管疾患(DBP, HR, 1.15; 95% CI, 1.02–1.30)と関連していました。最後に、多変量調整後ハザード比、血圧回復の増加は標準偏差ごとに、高血圧に対して0.46 (SBPrecovery, 95% CI, 0.38–0.54)、0.55(DBPrecovery, 95% CI, 0.45–0.67)、心血管疾患に対して0.80(SBPrecovery, 95% CI, 0.69–0.93)、全死亡に対して0.76 (SBPrecovery, 95% CI, 0.65–0.88)、関連していました。中年期の最大運動負荷に対する血圧反応の高さ、最大運動負荷後の血圧回復の低さは、その後の人生における心血管疾患、死亡率の臨床的なマーカーとなる可能性があると論文ではまとめました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32431193
相関関係の統計数値の読み方が難しいですが、中年期に運動で血圧が上がり安く、運動後に血圧が戻りにくいほど、心血管疾患のリスクが高い可能性があるとの報告です。フラミンガム研究、フラミンガム子孫研究は長期の追跡をしているので、年代を超えた関係がわかるのがすごいところです。


PAGETOP