2020/6/16、高齢者の1型糖尿病において持続グルコースモニタリングの有用性について調べた研究「Effect of Continuous Glucose Monitoring on Hypoglycemia in Older Adults With Type 1 Diabetes A Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/6/16、高齢者の1型糖尿病において持続グルコースモニタリングの有用性について調べた研究「Effect of Continuous Glucose Monitoring on Hypoglycemia in Older Adults With Type 1 Diabetes A Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。持続グルコースモニタリング(Continuous glucose monitoring: CGM)は、リアルタイムの血糖が評価出来て、高齢者の1型糖尿病において低血糖を減らすベネフィットがある可能性があります。高齢者の1型糖尿病において、標準的な血糖測定と比べて、持続グルコースモニタリングは低血糖を減らすのに有効かどうか調べるために、アメリカにて、22の内分泌内科、60歳以上の1型糖尿病203例を対象に、無作為化臨床試験を実施しました。持続グルコースモニタリング群103例、標準自己血糖測定群100例に無作為に割り振りました。一次転帰は6ヶ月間の追跡期間中、持続グルコースモニタリングにて測定された、血糖センサーにて血糖70mg/dL未満の値のパーセンテージとしました。二次転帰として31項目、低血糖の追加指標、高血糖、血糖コントロール、HbA1c、自覚症状、自己申告転帰等を含みました。結果、203例、平均年齢68歳、1型糖尿病の罹患期間の平均36年、女性52%、インスリンポンプ使用53%、平均HbA1c 7.5、83%が週のうち6日間以上持続血糖モニタリングを使用していました。血糖70mg/dL未満の平均時間は、持続グルコースモニタリング群では、開始時1日73分間(5.1%)、介入後39分間(2.7%)、自己血糖測定群で開始時68分間(4.7%)、介入後70分間(4.9%)で、有意差(adjusted treatment difference, -1.9% (-27 minutes per day); 95% CI, -2.8% to -1.1% [-40 to -16 minutes per day]; P <.001)を認めました。二次転帰については、31項目のうち、持続グルコースモニタリングに関する9項目全て、HbA1c値に関する7項目のうち6項目に有意差を認め、自己申告転帰については有意差を認めませんでした。平均HbA1cは、持続グルコースモニタリング群は自己血糖測定群と比べて、有意に低下(adjusted group difference, -0.3%; 95% CI, -0.4% to -0.1%; P <.001)を認めました。報告された有害事象で多いものは、低血糖(1 vs 10)、骨折(5 vs 1)、転倒(4 vs 3)、救急受診(6 vs 8)でした。60歳以上の1型糖尿病において、持続グルコースモニタリングは標準自己血糖測定と比べて、6ヶ月間の追跡で、低血糖の発生は、わずかではありますが、統計学的に有意な改善を認めました。長期の臨床的ベネフィットのためにはさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32543682
高齢者の1型糖尿病において持続グルコースモニタリングは、低血糖を有意に減らし、かつ、わずかではありますが血糖コントロールの改善を認めたとの報告です。


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