2020/5/29、新しい人工知能ベースの心血管リスクスコアの多施設後ろ向き比較試験「Multicenter Retrospective and Comparative Study on a Novel Artificial Intelligence Based Cardiovascular Risk Score: AICVD」の結果をまとめました。

2020/5/29、新しい人工知能ベースの心血管リスクスコアの多施設後ろ向き比較試験「Multicenter Retrospective and Comparative Study on a Novel Artificial Intelligence Based Cardiovascular Risk Score: AICVD」の結果をまとめました。心血管疾患は予防可能な疾患の一つであり、インドにおいては全死亡の30%近くを占めています。インドの集団における心血管疾患リスクスコアの研究は不足しており、従来のリスクスコアのパフォーマンスは限界があり、無作為化臨床試験で正確性を検証出来ていませんでした。大規模データで高い精度、高い予測能の研究が必要とされていました。将来7年間の急性心筋梗塞や急性冠症候群等の心血管疾患事象を予測、人工知能ベースのリスクスコア「AICVD」を開発、フラミンガム心臓リスクスコア(Framingham Heart Risk Score: FHRS)、10年間の心血管リスクスコア「QRisk3」等のリスクスコアモデルと比較しました。一次研究として、18歳から91歳、2010年から2017年まで、インドの6つの「Apollo Hospitals」、31599例を対象としました。多数ステップリスク因子選択プロセスをスピアマンの相関係数、21項目のリスク因子に及ぶ傾向スコアマッチングを用いて実施しました。「Deep Learnt Hazard model」では、事象発生の予測分類、事象時間ハザードモデル、多層ニューラルネットワークを用いて解析しました。さらにモデル検証として、独立した後ろ向きコホート、3246例を対象に、FHRS、QRisk3と比較しました。「Deep Learnt Hazard model」のパフォーマンスはAUC 0.853でした。検証、比較の結果、AUCは0.84から0.94の間で、陽性尤度比(AICVD – 6.16 to FHRS – 2.24 and QRisk3 – 1.16)、正確性(AICVD – 80.15% to FHRS 59.71% and QRisk3 51.57%)は優越性を認めました。新しい人工知能ベースの心血管疾患リスクスコアは予測能の正確性、精密性において従来のリスクスコアを改善しました。深層学習の活用によって、多変量リスク因子の相互作用を反映し、心血管疾患リスクの層別化の正確性、精密性を達成したとまとめています。詳しくは下記をご覧ください。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3548790
フラミンガムハートリスクスコア等の心血管疾患の予測スコアは有名ですが、人工知能ベースの心血管疾患リスクスコアのほうが予測能の正確性で勝ったという報告です。プレプリント版の論文ですので正式な掲載を待ちましょう。


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