2020/4/27、特発性冠動脈解離の発症後30日以内の再入院の発生率、臨床経過、原因を調べた研究「Incidence, Clinical Presentation, and Causes of 30-Day Readmission Following Hospitalization With Spontaneous Coronary Artery Dissection」の結果をまとめました。

2020/4/27、特発性冠動脈解離の発症後30日以内の再入院の発生率、臨床経過、原因を調べた研究「Incidence, Clinical Presentation, and Causes of 30-Day Readmission Following Hospitalization With Spontaneous Coronary Artery Dissection」の結果をまとめました。特発性冠動脈解離による急性心筋梗塞は心筋梗塞の非特異的タイプで、短期転帰のデータが限られています。全国データベースを用いて、特発性冠動脈解離(spontaneous coronary artery dissection: SCAD)後30日以内の再入院率、急性心筋梗塞入院を調べるために、2010年から2015年、急性心筋梗塞の全入院データを収集、主要転帰は特発性冠動脈解離、非特発性冠動脈解離後の30日以内の再入院率としました。傾向スコアマッチングを行いました。一次解析、急性心筋梗塞2654087例のうち、1386例(0.052%)が特発性冠動脈解離と診断されました。特発性冠動脈解離コホートは高い再入院率と関連(12.3% vs. 9.9%; p = 0.022)していました。特発性冠動脈解離コホートにおける再入院の主な原因は、80.6%心臓原因(cardiac causes)で、急性心筋梗塞は最も頻度の高い原因(44.8%)でした。他は胸痛(20.1%)、不整脈(12.7%)でした。特発性冠動脈解離の再入院において、50.6%は退院後1週間以内に再入院をしており、急性心筋梗塞再入院の54.5%は退院後2日以内に発生していました。急性心筋梗塞、特発性冠動脈解離の30日以内の再入院の発生率は虫出来ないほど多く、退院後早期に起こっていました。再入院の大半は心臓が原因で、特に急性心筋梗塞が多くを占めました。高い再入院率、急性心筋梗塞の早期の再発を減少させるためのアプローチが必要であると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32327089
大動脈解離は有名ですが、冠動脈解離も存在し、急性心筋梗塞の原因となります。頻度は急性心筋梗塞のうち0.052%であったということ、特発性冠動脈解離による急性心筋梗塞後は急性心筋梗塞の再発入院のリスクが高いことが明らかになりました。ただ、非特発性冠動脈解離の急性心筋梗塞の場合も30日以内の再入院率は9.9%とのことで、どちらも再発に注意が必要です。


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