2020/7/1、COVID-19の抗体検査の診断精度について調べた系統レビュー、メタ解析「Diagnostic accuracy of serological tests for covid-19: systematic review and meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/7/1、COVID-19の抗体検査の診断精度について調べた系統レビュー、メタ解析「Diagnostic accuracy of serological tests for covid-19: systematic review and meta-analysis」の結果をまとめました。COVID-19の抗体検査(serological tests)の診断精度を調べるために、系統レビュー、メタ解析を行いました。2020/1/1から4/30まで、Medline、bioRxiv、medRxivにて、主題、副主題で、「covid-19」「serological tests」等のキーワード検索を行いました。COVID-19抗体検査の感度、特異度、両方を、標準的なウイルス培養または逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応と比較しました。5例よりも少ない参加者、検体の研究は除外しました。バイアスリスクは、診断精度研究の質評価「QUADAS-2」を用いて評価しました。蓄積感度、特異度は無作為化影響2変量メタ解析にて算出しました。主要転帰は抗体検査の感度、特異度で、酵素免疫測定法(enzyme linked immunosorbent assays: ELISAs)、ラテラルフローイムノアッセイ法(lateral flow immunoassays: LFIAs)、化学発光免疫測定法(chemiluminescent immunoassays: CLIAs)、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、両者について層別化評価を行いました。副次転帰は発症からの期間も含む参加者の特性と、感度、特異度の層別化としました。結果、40件の研究を含む5016例を参照しました。対象、手法等に関するバイアスリスク評価、49件のうち48件は高い選択バイアスリスク、49件のうち36件は抗体検査のパフォーマンス、解釈の透明性において高いバイアスリスクを認めました。40件のうち4件は外来患者を含んでいました。2件の研究のみが臨床現場即時検査(point of care)の評価でした。それぞれの検査方法にて、蓄積感度、特異度は測定された免疫グロブリンクラスと関連を認めませんでした。IgGまたはIgMの感度は、ELISAs法84.3%(95% confidence interval 75.6% to 90.9%)、LFIAs法66.0%(49.3% to 79.3%)、CLIAs法97.8%(46.2% to 100%)でした。全体の解析では、蓄積感度はPOCとしては、LFIAs法で低値でした。蓄積特異度は96.6%から99.7%でした。検体使用した特異度の推算は83%(10465/12547)で、COVID-19疑いではない例、疫学検査前の集団検査からでした。LFIAs法において、商用キットの蓄積感度は65.0%(49.0% to 78.2%)で、非商用キット88.2%(83.6% to 91.3%)よりも低値でした。感度は、発症後1週間の時点(from 13.4% to 50.3%)と比べて、発症後少なくとも3週間後以上の時点で高値(ranging from 69.9% to 98.9%)でした。COVID-19の抗体検査の診断精度の評価について、高い質の臨床研究が急務です。現時点の入手可能なエビデンスからは、抗体検査を臨床現場即時検査(point of care)として用いることを支持出来ませんと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32611558
最近話題の抗体検査ですが、市販の抗体検査の精度は検査方法によって異なり、65.0%から99.7%と大きく幅がありました。論文ではポイントオブケア検査として抗体検査は支持されないと結論しています。日経メディカルでも記事になっています。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202007/566454.html


PAGETOP