2020/5/30、サージカルマスクのCOVID-19の非接触感染防止効果についてハムスターで調べた研究「Surgical mask partition reduces the risk of non-contact transmission in a golden Syrian hamster model for Coronavirus Disease 2019」の結果をまとめました。SARS-CoV-2によるCOVID-19は、中程度から大きいサイズの飛沫で感染すると考えられていますが、エアロゾルによる空中感染の可能性は理論的にあります。飛沫の暴露はサージカルマスクの使用によって理論的には減少可能です。しかしながら、COVID-19の予防のためのサージカルマスクの使用を支持するだけの実験的なエビデンスは不足していました。よく確立されたゴールデンシリアハムスター(golden Syrian hamster)モデルを使用しました。SARS-CoV-2感染ハムスターと非感染ハムスターを空気が通過可能な塩化ポリビニルのパーティションで隔離された2つの別の籠からなる閉鎖システムで、一方向性の気流としました。2つの籠の間のパーティションにサージカルマスクを設置し、効果を調べました。臨床スコア、ハムスター検体のウイルス量、組織病理、ウイルス核酸抗原発現を評価しました。結果、非接触感染は、サージカルマスクなしの場合、非感染ハムスターの15例中10例、66.7%に認めました。非感染ハムスターにサージカルマスクを設置した場合、24例中6例、33.3%で、有意(P=0.018)に感染の減少を認めました。感染ハムスターにサージカルマスクを設置した場合では、感染は12例中2例、16.7%のみで、有意(P=0.019)に感染の減少を認めました。感染ハムスターの重症な症状とは異なり、非感染ハムスターは、臨床スコアが低く、呼吸器組織における組織病理学的変化が軽度で、ウイルス核酸抗原発現が低値でした。ハムスターモデルからSARS-CoV-2は飛沫または飛沫核感染の可能性があります。感染は、サージカルマスクの使用によって、特に感染者にマスクを着用することで減少させることが出来る可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32472679
マスクの感染予防効果についてハムスターの実験です。感染防止効果はマスクを全くしない場合の感染率2/3と比べて、非感染ハムスターにマスクをした場合1/3、感染ハムスターにマスクをした場合1/6まで減少したとのことで、感染者、非感染者ともにマスクの有効性があるのではないかという報告です。単純計算ではありますが、両者ともマスクをした場合は、1/3の1/6で1/18となり、12/18と比べると、12倍も違うということになるかも知れません。マスクは想像以上に効果があるのではないかというデータで、感染者も非感染者も関係なく全員マスクを着けること「Universal Masking」という考え方の根拠の一つとなっています。感染症専門医の忽那先生も記事にまとめています。詳しくは下記ページをご覧ください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200723-00189530
2020/5/30、サージカルマスクのCOVID-19の非接触感染防止効果についてハムスターで調べた研究「Surgical mask partition reduces the risk of non-contact transmission in a golden Syrian hamster model for Coronavirus Disease 2019」の結果をまとめました。