2020/8/1、加糖飲料課税において、課税方法(容量税、段階税、絶対税)と健康効果、費用対効果への影響をシュミレーションしたアメリカの研究「Health Impact and Cost-Effectiveness of Volume, Tiered, and Absolute Sugar Content Sugar-Sweetened Beverage Tax Policies in the United States: A Microsimulation Study」の要旨をまとめました。

2020/8/1、加糖飲料課税において、課税方法(容量税、段階税、絶対税)と健康効果、費用対効果への影響をシュミレーションしたアメリカの研究「Health Impact and Cost-Effectiveness of Volume, Tiered, and Absolute Sugar Content Sugar-Sweetened Beverage Tax Policies in the United States: A Microsimulation Study」の要旨をまとめました。加糖飲料税(Sugar-sweetened beverage taxes)は政策ツールとして急速に広がっており、課税方法としては、絶対容量(volume)に基づく課税、糖含有量に応じた段階(tiers)課税、糖含有量の絶対量(absolute)に応じた課税の3種類の方法があります。しかしながら、健康、経済への影響の比較は定量化されていなく、特に段階税と絶対税のどちらかが果糖飲料の減少へ向けた産業界へのインセンティブとなるか十分にわかっていませんでした。アメリカにおいて、3つの加糖飲料課税の設計において、糖尿病、心血管疾患、質調整生存年(quality-adjusted life-years: QALY)、費用、費用対効果の影響を評価しました。具体的な課税方法としては、容量税としては、1ozあたり0.01ドル、段階税としては、8ozあたり糖5g未満は非課税、8ozあたり糖5gから20gは1ozあたり0.01ドル、8ozあたり糖20g以上は1ozあたり0.02ドル、絶対税としては、1ティースプーンあたり0.01ドルとし、それぞれ業界の自発的な調整に基づいて比較しました。マイクロシュミレーションモデル、「CVD-PREDICT」(Cardiovascular Disease Policy Model for Risk, Events, Detection, Interventions, Costs, and Trends)を用いて、全国健康栄養調査からの全国の人口、食事データ、既存の研究からの業界の変化、健康関連費用、政策効果、加糖飲料関連疾患のメタ解析を実施しました。結果、生涯において、推算の税収入は、容量税80.4億ドル、段階税142億ドル、絶対税41.7億ドルでした。健康の観点からは、容量税は心血管疾患850000例(95% CI, 836 000-864 000)、糖尿病269000例(265 000-274 000)、質調整生存年2.44万(2.40-2.48)増加、賞味費用53.2億ドル(52.3-54.1)削減、という結果になりました。健康上の便益、費用の削減は段階税、絶対税では約2倍でした。この結果は社会的、政策視点的に重要であり、10年間の追跡で50%の節税に相当します。健康状の便益は若年者、黒人、ヒスパニック、低所得者において影響が大きいと推測されました。全ての加糖飲料課税の設計は健康上の便益、費用の削減において効果的でした。段階税、絶対税は、便益の可能性を最大化するには、考慮、評価されるべきだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32564614
いわゆる加糖清涼飲料水に対する砂糖税、ソーダ税の費用対効果の分析の研究です。加糖飲料課税によって、糖尿病、心血管疾患等が減ることは明らかで、国によってはすでに導入されています。当然のことながら清涼飲料水業界の抵抗に合うことも多いのですが、海外では砂糖税が良いか悪いかではなく、具体的にどのような課税方式が良いのかまで議論が進んでいます。ちなみに、最も糖尿病のリスクが少ない飲み物は水や無糖のお茶です。加糖飲料のガブ飲みは本当に糖尿病の発症リスクになりますので気を付けましょう。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/circ/202008/566629.html


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