2020/7/1、心電図の深層学習で貧血を検出する研究「A deep learning algorithm to detect anaemia with ECGs: a retrospective, multicentre study」の要旨をまとめました。

2020/7/1、心電図の深層学習で貧血を検出する研究「A deep learning algorithm to detect anaemia with ECGs: a retrospective, multicentre study」の要旨をまとめました。貧血は全世界で重要な健康課題で、貧血のスクリーニングは多臓器損傷、不可逆的合併症、生命を脅かす有害事象を防ぐために重要です。深層学習アルゴリズムを用いて、心電図から非侵襲的に貧血の検出のスクリーニングを出来ないか開発しました。深層学習アルゴリズムで心電図を用いて内的検証、外的検証、後ろ向き多施設診断研究を実施しました。韓国にて、2つの病院、A病院、セジョン総合病院(Sejong General Hospital)、B病院、Mediplexセジョン病院(Mediplex Sejong Hospital)にて、A病院からデータで、深層学習アルゴリズムの開発、内的検証を行い、B病院からのデータで外部検証を行いました。人口統計情報、心電図、ヘモグロビン値の情報も収集しました。3つのタイプの深層学習アルゴリズムが開発、12誘導、6誘導、1誘導、ヘモグロビン濃度が10g/dL以上か未満かを検出します。深層学習アルゴリズムは畳み込みニューラルネットワーク、500Hzの心電図の生データ、年齢、性別のデータをインプットとしました。2016年から2019年までA病院、2017年から2019年までB病院にて学習を行いました。結果、A病院40513例、B病院4737例の参加者を試験に組み込みました。A病院281例、B病院72例は臨床試験データ、心電図データが不十分であったため試験から除外しました。結果、開発データセット、31898例、心電図57435枚、アルゴリズムの内部検証データセット、7974例、心電図7974枚、外部検証データセット、4665例、心電図4665枚でした。内部検証データセットのうち586例、外部検証データセットのうち194例は貧血でした。内部検証、外部検証において、12誘導心電図を用いた深層学習アルゴリズムの貧血検出の受信者操作特性曲線下面積(area under the receiver operating characteristics curve: AUROC)は、内部検証0.923、外部検証0.901でした。開発データの90%感度操作点を用いると、内部検証において感度89.8%、特異度81.5%、陰性適中率99.4%、陽性適中率20·0%、外部検証において感度86.1%、特異度76.2%、陰性適中率99.2%、陽性適中率13.5でした。深層学習アルゴリズムは感度マップにて貧血の存在を検出において、QRS波の部分にフォーカスしていました。6誘導、1誘導の深層学習アルゴリズムのAUROCは、0.841から0.890の範囲内でした。心電図の生データを用いた今回の研究から、深層学習アルゴリズムは貧血を正確に検出しました。心電図に人工知能を応用することは貧血のスクリーニングを可能にしました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(20)30108-4/fulltext
心電図データ57435枚を機械学習させたところ、感度86.1%、特異度76.2%の精度で貧血を検出可能になったという報告です。人間の目視で心電図から貧血の有無は全くわかりませんが、QRS波のあたりにヒントがあるそうです。勿論、採血すればいいんですが、非侵襲的に貧血の有無を予測出来るとはすごいことです。


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