2020/5/1、人工知能と遠隔眼科診療による糖尿病性網膜症スクリーニングプログラムの経済性分析モデルについてのシンガポールの研究「Artificial intelligence for teleophthalmology-based diabetic retinopathy screening in a national programme: an economic analysis modelling study」の要旨をまとめました。

2020/5/1、人工知能と遠隔眼科診療による糖尿病性網膜症スクリーニングプログラムの経済性分析モデルについてのシンガポールの研究「Artificial intelligence for teleophthalmology-based diabetic retinopathy screening in a national programme: an economic analysis modelling study」の要旨をまとめました。深層学習は眼底写真からの糖尿病性網膜症の検出において、人間の教師データと同等の有効性を示された新しい機械学習技術です。現在の人間による評価と、人間の二次評価の前のトリアージフィルターとしての準自動深層学習モデル、人間の評価なしの全自動深層学習モデル、2つの深層学習アプローチの比較で、費用削減の可能性を費用最小化分析にて解析しました。経済性分析モデル研究では、2015年からシンガポール、全国糖尿病性網膜症スクリーニングプログラム、糖尿病の連続症例39006例のデータを用いて、意思決定ツリーモデル、「TreeAge Pro」、人間のコホート研究による実際のスクリーニングコストと、準自動、全自動スクリーニングモデルのシュミレーションコストを比較しました。モデルパラメータとして、糖尿病性網膜症の有病率、それぞれのスクリーニングモデルにおける糖尿病性網膜症のスクリーニングコスト、医療コンサルトのためのコスト、感度、特異度等の診断精度について検討しました。主要転帰は各スクリーニングモデルの総コストとしました。確定感度分析にてキー仮説モデルの結果の感度を推計しました。健康システムの見通しから、準自動スクリーニングモデルは3つのモデルのうち、最も費用が低く、1人年あたり62ドルでした。全自動モデルは1人年あたり66ドル、人間の評価モデルでは1人年あたり77ドルでした。シンガポールの健康システムを準自動モデルに切り替えると、削減コストは推定489000ドル、現在の年間のスクリーニングコストのおおよそ20%に相当します。2050年には、シンガポールの糖尿病患者は100万人に達すると言われており、年間の医療費削減額は1500万ドルに相当すると見積もられます。この研究から糖尿病性網膜症のスクリーニングとして機械学習システムは補助的なツールとして経済性の強い根拠を示しています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(20)30060-1/fulltext
糖尿病性網膜症のスクリーニングとして人工知能の活用、費用対効果はどうかを検討した研究です。人工知能の精度が人間と比べてどうかという議論はもう終わっており、どのように人工知能を活用するかを考えるフェイズに来ているんですね。


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