2020/8/17、スマートフォンの血管信号から糖尿病のデジタルバイオマーカーを検出する研究「A digital biomarker of diabetes from smartphone-based vascular signals」の要旨をまとめました。

2020/8/17、スマートフォンの血管信号から糖尿病のデジタルバイオマーカーを検出する研究「A digital biomarker of diabetes from smartphone-based vascular signals」の要旨をまとめました。全世界で糖尿病は急速に増加傾向であり、2019年には45100万人、2045年には69300万人に至ると言われています。2型糖尿病の発症は特に症状が乏しいため、診断が遅れ、合併症が増加してしまいます。糖尿病の血管への多面的な作用から、スマートフォンベースの光電式容積脈波記録信号(photoplethysmography)で、糖尿病のデジタルバイオマーカーを検出出来ないか仮説を立てました。スマートフォンベースの光電式容積脈波記録信号にて、糖尿病53870例の一次コホートから深層ニューラルネットワーク(deep neural network: DNN)を開発、独立した7806例の同期コホートにて検証、3つのクリニックにて181例、前向き臨床コホートを実施しました。糖尿病の診断において深層ニューラルネットワークの曲線下面積は、一次コホート0.766(95% confidence interval: 0.750–0.782; sensitivity 75%, specificity 65%)、同期コホート0.740(95% confidence interval: 0.723–0.758; sensitivity 81%, specificity 54%)でした。深層ニューラルネットワークのアウトプットとして、年齢、性別、人種、BMI等の情報の回帰分析を含めて、DNNスコアを確立、曲線下面積は0.830、DNNスコアは糖尿病の独立した予測因子として一貫していました。臨床コホートにおいてDNNスコアのパフォーマンスは他の検証データセットと同等で一貫していました。DNNスコアとHbA1c値のデータとの間には有意かつ正の相関関係(P ≤ 0.001)を認めました。スマートフォンベースの光電式容積脈波記録信号は糖尿病の診断において非侵襲的デジタルバイオマーカーとして現実的に達成可能になるだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nature.com/articles/s41591-020-1010-5
53870例の機械学習から感度81%、特異度54%の精度で糖尿病を検出可能とカルフォルニア大学からの報告です。糖尿病による微小血管障害、動脈硬化への影響が何らかのサインとして現れるということなんでしょうか。HbA1c値との有意な相関とのことで、グルコース濃度を反映している訳ではなさそうです。非侵襲的血糖測定の取り組みはいくつかありますが、HbA1c値がわかることは有用です。


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