2020/8/30、超高齢心房細動に対する低用量エドキサバンの効果を検討した研究「Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation: ELDERCARE-AF」の要旨をまとめました。

2020/8/30、超高齢心房細動に対する低用量エドキサバンの効果を検討した研究「Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation: ELDERCARE-AF」の要旨をまとめました。超高齢心房細動に対して抗凝固療法を適切な導入することは出血リスクを考慮しなくてはならなく課題です。80歳以上、非弁膜症性心房細動、脳卒中予防のための経口抗凝固療法の適応ではないと判断される例を対象に、エドキサバン15mg1日1回とプラセボを比較、第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験を実施しました。有効性の主要評価項目は脳卒中、全身性塞栓症の複合、安全性の主要評価項目は国際血栓止血学会「International Society on Thrombosis and Haemostasis」による定義の大出血としました。結果、全体984例、エドキサバン15mg1日1回群492例、プラセボ群492例に無作為に割り振りました。681例が試験を完了、303例は中断、158例は離脱、135例は死亡、10例は他の理由で、両群とも試験中断例の数は同様でした。脳卒中、全身性塞栓症の年間発生率はエドキサバン群2.3%、プラセボ群6.7%、66%有意に減少(hazard ratio, 0.34; 95% confidence interval [CI], 0.19 to 0.61; P<0.001)、大出血の年間発生率はエドキサバン群3.3%、プラセボ群1.8%、有意な増加(hazard ratio, 1.87; 95% CI, 0.90 to 3.89; P=0.09)には至りませんでした。消化管出血はエドキサバン群でプラセボ群と比べて高い頻度でした。全死亡は両群間で有意差(9.9% in the edoxaban group and 10.2% in the placebo group; hazard ratio, 0.97; 95% CI, 0.69 to 1.36)を認めませんでした。日本人の超高齢非弁膜症性心房細動で、標準用量の経口抗凝固薬が適応ではないと考えられる場合において、エドキサバン15mg1日1回は、プラセボと比べて、脳卒中、全身性塞栓症の予防において優越性を認め、プラセボと比べて大出血を有意に増加させることはありませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2012883
エドキサバン(リクシアナ)の日本における標準用量60mgで、腎機能障害や併用薬によっては30mgに減量と添付文書には記載がありますが、さらにその半分の15mgが超高齢者においては有効であったという日本からの報告です。リクシアナ15mgの剤形が今後日本で承認される日も近いでしょう。


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