2020/8/7、多枝冠動脈血行再建において経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術を比較した日本の研究「Percutaneous coronary intervention versus coronary arterial bypass grafting in patients with multi-vessel coronary revascularization from the CREDO-Kyoto PCI/CABG registry/cohort-2」の要旨をまとめました。

2020/8/7、多枝冠動脈血行再建において経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術を比較した日本の研究「Percutaneous coronary intervention versus coronary arterial bypass grafting in patients with multi-vessel coronary revascularization from the CREDO-Kyoto PCI/CABG registry/cohort-2」の要旨をまとめました。三枝病変(triple-vessel diseas)に対し、薬剤漏出性ステントによる経皮的冠動脈形成術単独と頸動脈バイパス術の長期転帰を評価するために、多枝冠動脈病変の管理として経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術の選択は臨床課題です。「CREDO-Kyoto PCI/CABG registry/cohort-2」の登録者15939例、現在の研究集団2193例を対象に、左前下行枝の冠動脈病変を含む多枝冠動脈の血行再建術として、待機的シロリムス漏出性ステントによる経皮的冠動脈形成術単独群945例、冠動脈バイパス術1248例を比較しました。結果、主要評価項目として、全死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合の調整リスクの5年間の累計発生率は、経皮的冠動脈形成術群と冠動脈バイパス術群で有意差(22.6% vs. 23.0%, p = .40, and HR: 1.13, 95%CI: 0.91-1.40, p = .26)を認めませんでした。全死亡、脳卒中に対する経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術のリスクも非有意(HR: 1.19, 95%CI: 0.92-1.53, p = .19; HR: 0.89, 95%CI: 0.62-1.27, p = .51)でした。心筋梗塞、心不全入院、冠動脈再血行再建、大出血の5年リスクは両群間で有意差(HR: 1.59, 95%CI: 1.10-2.30, p = .01; HR: 1.49, 95%CI: 1.05-2.11, p = .02; HR: 3.70, 95%CI: 2.91-4.70, p < .0001; HR: 0.18, 95%CI: 0.14-0.22, p < .0001)を認めました。前下行枝を含む多枝病変の冠動脈血行再建において、シロリムス漏出性ステントによる経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術と比べて、死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合の5年リスクは大差ありませんでしたが、冠動脈再血行再建の高いリスクを認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31389659
多枝病変に対して経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術を比較した日本の研究です。心筋梗塞59%、心不全入院49%、再血行再建270%、大出血18%と有意差を認めました。特に多枝病変に対する経皮的冠動脈形成術では再血行再建は冠動脈バイパス術と比べて3.7倍多く、冠動脈バイパス術に軍配が上がりました。


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