2020/8/28、ヨーロッパのプライマリケア、二次医療機関において脂質改善薬治療の実臨床データを調べたヨーロッパの研究「EU-Wide Cross-Sectional Observational Study of Lipid-Modifying Therapy Use in Secondary and Primary Care: the DA VINCI study」の要旨をまとめました。

2020/8/28、ヨーロッパのプライマリケア、二次医療機関において脂質改善薬治療の実臨床データを調べたヨーロッパの研究「EU-Wide Cross-Sectional Observational Study of Lipid-Modifying Therapy Use in Secondary and Primary Care: the DA VINCI study」の要旨をまとめました。様々な状況、集団において脂質低下療法に関するヨーロッパのガイドラインの推奨がどれほど導入されているか、LDLコレステロール値が治療目標値を達成しているか実臨床データを明らかにするために、ヨーロッパ、18カ国、一次予防、二次予防、プライマリケア、専門施設、脂質低下療法の処方状況に関して観察横断研究を行いました。2017年から2018年まで、12ヶ月、脂質低下療法も含む外来受診、最新のLDLコレステロール値を収集しました。主要転帰は脂質低下療法による2016年のヨーロッパ心臓病学会、ヨーロッパ動脈硬化学会のリスク別LDLコレステロール目標値の達成率、2019年目標値の達成率も同時に評価しました。全体で5888例、一次予防3000例、二次予防2888例を登録、2016年リスク別目標値達成率54%(95%CI 52–56)、2019年リスク別目標値達成率33%(95% CI 32–35)でした。高用量スタチン単剤療法の実施率はハイリスク群、一次予防群20%、二次予防群38%でした。2016年目標値達成率、2019年目標値達成率は、ハイリスク一次予防群22%、17%、二次予防群45%、22%でした。中等量から高用量スタチンの使用と、エゼチミブの併用9%、PCSK9阻害薬1%では、2016年目標値達成率、2019年目標値達成率は、エゼチミブ併用で53%、20%、PCSK9阻害薬併用で67%、58%でした。ヨーロッパにおける脂質管理における臨床ガイドラインと実臨床のギャップは、2019年ガイドラインで拡大しました。至適用量のスタチンを投与していても、非スタチン脂質低下療法を併用することは、ハイリスク群において治療目標値とのギャップ軽減に必要だろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://academic.oup.com/eurjpc/advance-article/doi/10.1093/eurjpc/zwaa047/5898664
ヨーロッパ18カ国のリアルワールドデータから、心血管疾患のハイリスク群において2019年ガイドラインの脂質目標値を達成しているのは33%に過ぎなかったという報告です。第一に十分量のスタチンを使用することをベースに、不十分の場合には第二に、エゼチミブ、PCSK9阻害薬の併用で治療目標値達成率は向上するという結果です。お茶の水循環器内科の方針としては、十分量のスタチンがまずは使用されていない場合は十分量のスタチンの使用で脂質は劇的に改善することが多いので、スタチンの使用量の見直しから行います。勿論、食事療法、運動療法の徹底も重要です。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0911531652/


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