2020/8/29、症候性閉塞性肥大型心筋症治療薬mavacamtenの無作為化二重盲検プラセボ対照第III相治験「Mavacamten for treatment of symptomatic obstructive hypertrophic cardiomyopathy (EXPLORER-HCM): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial」の要旨をまとめました。

2020/8/29、症候性閉塞性肥大型心筋症治療薬mavacamtenの無作為化二重盲検プラセボ対照第III相治験「Mavacamten for treatment of symptomatic obstructive hypertrophic cardiomyopathy (EXPLORER-HCM): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial」の要旨をまとめました。心筋の過剰収縮(Cardiac muscle hypercontractility)は、肥大型心筋症の病態生理学的異常の中心的役割であり、左室駆出路(left ventricular outflow tract: LVOT)の閉塞が動態の最大の決定因子です。肥大型心筋症の薬物治療として現在使用可能なものは不十分または忍容性が低く、疾患特異的ではないのが現状です。症候性閉塞性肥大型心筋症に対して、心筋ミオシン阻害薬、「mavacamten」の有効性、安全性を評価するために、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験、「EXPLORER-HCM」試験、13カ国、68臨床心血管施設、肥大型心筋症で、左室駆出路の圧格差50mmHg以上あり、NYHAクラスIIからIIIの心不全症状を認める例を対照に、mavacamten 5mg群、プラセボ群と無作為に割り振り、30週間追跡しました。2週間から4週間おきに外来にて評価しました。心エコー、心電図、血算等の臨床検査、血清mavacamten濃度、一連の評価を実施しました。主要評価項目は、最大酸素消費量(peak oxygen consumption: pVO2)の1.5mL/kg/min以上の上昇かつNYHAクラスの1段階以上の減少、または、NYHAクラスの変化なく最大酸素消費量の3.0mL/kg/min以上の上昇としました。副次評価項目は、運動後左室駆出路圧格差、最大酸素消費量、NYHAクラス、「KCCQ-CSS」(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire-Clinical Summary Score)、「HCMSQ-SoB」(Hypertrophic Cardiomyopathy Symptom Questionnaire Shortness-of-Breath subscore)の変化としました。本試験はClinicalTrials.gov「NCT03470545」に登録されました。結果、2018年から2019年まで、成人429例が組み込み、そのうち251例(59%)が登録、mavacamten群123例(49%)、プラセボ群128例(51%)に無作為に割り振られました。mavacamten群123例中45例(37%)、プラセボ群128例中22例(17%)が主要評価項目を満たし、有意差(difference +19·4%, 95% CI 8·7 to 30·1; p=0·0005)を認めました。mavacamten群はプラセボ群と比べて、運動後左室駆出路圧格差の減少(−36 mm Hg, 95% CI −43·2 to −28·1; p<0·0001)、最大酸素消費量の増加(+1·4 mL/kg per min, 0·6 to 2·1; p=0·0006)、臨床症状スコアの改善(KCCQ-CSS +9·1, 5·5 to 12·7; HCMSQ-SoB −1·8, −2·4 to −1·2; p<0·0001)を認めました。mavacamten群の34%は少なくとも1段階以上のNYHAクラスの改善(80 of 123 patients in the mavacamten group vs 40 of 128 patients in the placebo group; 95% CI 22·2 to 45·4; p<0·0001)を認めました。安全性、忍容性はプラセボと同等でした。治療緊急有害事象は全般的に軽度でした。プラセボ群で1例突然死が発生しました。mavacamtenによる治療は、閉塞性肥大型心筋症の運動耐容能、左室駆出路閉塞、NYHA機能クラス、健康状態を改善しました。本試験の重要な結果は肥大型心筋症の疾患特異的治療の有望性を明らかにしました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31792-X/fulltext
肥大型心筋症に対して直接ミオシン阻害薬「mavacamten」の第III相治験の結果です。直接ミオシン阻害薬「mavacamten」が第III相試験に成功しました。初の肥大型心筋症治療薬です。近日中に承認は確実でしょう。続報がわかり次第お知らせします。


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