2020/7/27、脳卒中二次予防のための薬物療法の今後の展望「New Horizons in Pharmacologic Therapy for Secondary Stroke Prevention」の要旨をまとめました。虚血性脳卒中予防に対する現在入手可能な治療、生活習慣修正にも関わらず、脳卒中再発、心血管罹患率の生涯リスクは残存しています。本レビューでは、非心原性塞栓性脳卒中予防に対して新規の治療、第II相、第III相の無作為化臨床試験の有効性の指標、脳卒中一次予防の確実な結果、今後の評価を必要とする薬物療法レジメンの概要を提示しました。小規模な急性虚血性脳卒中、一過性虚血性発作後、心血管リスクは高く、長期の抗血小板療法のみでは不十分なことがあります。低用量リバーロキサバンとアスピリンの複合は、脳卒中二次予防として臨床的に動脈硬化、脳卒中の既往がある例に対しては抗血栓療法の選択肢になる可能性があります。2つの国際無作為化臨床試験にて、非心原性塞栓性虚血性脳卒中の予防、二次予防に対して経口第XI因子阻害薬、抗血小板薬の併用を評価しました。スタチンによる厳格な脂質管理は虚血性脳卒中、総心血管リスクを改善することが示されました。PCSK9阻害薬(Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 inhibitors)は脳卒中再発に対して追加で保護的に働くと考えてられています。リポたんぱく(a)を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチド治療は、リポたんぱく(a)を通じて心血管リスクを低減する新規の治療として注目されています。GLP-1受容体刺激薬(Glucagon-like peptide-1 receptor agonists)は新しい抗糖尿病薬であり、脳卒中予防が他の心血管転帰と比べてベネフィットが大きいと考えられ、注目されています。現在、脳卒中二次予防のためにはエキサイティングで新たな機会を秘めた分野で、新規の作用機序、新規の抗血栓療法、脂質低下療法、抗炎症、抗糖尿病薬の無作為化臨床試験、脳卒中再発の負荷を将来的に低減することが期待されています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32716473
メディカルトリビューンでも記事になっていました。脳卒中二次予防とは、抗血小板薬、抗凝固薬等の抗血栓療法を中心に、動脈硬化の危険因子として高血圧、脂質異常症、糖尿病があればそれぞれ降圧薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬にて動脈硬化の危険因子をコントロールします。生活習慣としては禁煙が必須、節酒、運動、適正体重維持が重要です。
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/1007531865