2020/6/9、座りっぱなしの生活習慣と中高年のがんとの関係を調べたアメリカの研究「Association of Sedentary Behavior With Cancer Mortality in Middle-aged and Older US Adults」の要旨をまとめました。

2020/6/9、座りっぱなしの生活習慣と中高年のがんとの関係を調べたアメリカの研究「Association of Sedentary Behavior With Cancer Mortality in Middle-aged and Older US Adults」の要旨をまとめました。
座りっぱなしの生活習慣(Sedentary behavior)は、糖尿病、心血管疾患、全死亡等、様々な健康転帰と関連しています。客観的に測定された座りっぱなしの生活習慣とがん死亡の関係は、身体活動との関係と同様に、十分にわかっていませんでした。加速度計によって測定した座りっぱなしの生活習慣(total volume and accrual in prolonged, uninterrupted bouts)、がん死亡との関係を調べるために、アメリカ、45歳以上、黒人、白人、前向きコホート研究「REGARDS」(Reasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)研究を実施しました。2019年から2020年に解析しました。座りっぱなしの時間(Sedentary time)、軽度強度の身体活動(light-intensity physical activity: LIPA)、中程度以上の身体活動(moderate- to vigorous-intensity physical activity: MVPA)、腰に装着した加速度計を用いて7日間連続測定、がん死亡との関係を調べました。結果、8002例、男性3668例(45.8%)、平均年齢69.8%、中央値5.3年間の追跡期間のうち、がん死亡268例(3.3%)発生しました。多変量調整モデルにて、中程度以上の身体活動を含む、座りっぱなしの総時間はがん死亡率と顕著な関係(tertile 2 vs tertile 1: hazard ratio [HR], 1.45; 95% CI, 1.00-2.11; tertile 3 vs tertile 1: HR, 1.52; 95% CI, 1.01-2.27)を認めました。座りっぱなし期間が長いほどがん死亡と有意に関連しており、中程度から強度の身体活動(tertile 2 vs tertile 1: HR, 1.26; 95% CI, 0.90-1.78; tertile 3 vs tertile 1: HR, 1.36; 95% CI, 0.96-1.93)でした。1日30分の座りっぱなしの時間を、軽度強度の身体活動へ置き換えることはがん死亡リスク8%低下(per 30 minutes: HR, 0.92; 95% CI, 0.86-0.97)と関連してました。中程度以上の身体活動はがん死亡リスク31%低下(per 30 minutes: HR, 0.69; 95% CI, 0.48-0.97)と関連していました。コホート研究、加速度計によって測定された座りっぱなしの時間が増えるほど、がん死亡リスクの独立して関連を認めました。座りっぱなしの時間を、軽度の身体活動、中程度以上の身体活動へ置き換えることは、がん死亡リスク低下と関連してました。本結果から、座りっぱなしの生活習慣の総量は潜在的ながん死亡リスク因子であり、公衆衛生としては、健康増進のために、成人は座る時間を減らし、動く時間を増やすべきであるというメッセージになります。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2767093
座りっぱなしの時間が多い人は座りっぱなしの時間が少ない人と比べてがん死亡リスク52%増加するという報告です。座りっぱなしの時間30分間を運動に置き換えることで、軽度の運動8%、中程度以上の運動31%がん死亡リスク低下するとのことです。


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