2020/9/28、プロトンポンプ阻害薬の常用と2型糖尿病リスクとの関係を調べた研究「Regular use of proton pump inhibitors and risk of type 2 diabetes: results from three prospective cohort studies」の要旨をまとめました。

2020/9/28、プロトンポンプ阻害薬の常用と2型糖尿病リスクとの関係を調べた研究「Regular use of proton pump inhibitors and risk of type 2 diabetes: results from three prospective cohort studies」の要旨をまとめました。プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitors: PPI)の常用(regular use)と、2型糖尿病リスクとの関係は十分にわかっていませんでしたが、最近の無作為化対照試験ではリスク上昇の傾向があることが報告されています。プロトンポンプ阻害薬の常用と2型糖尿病との関係を評価するために、アメリカ、3つの前向き研究、「Nurses’ Health Study」「Nurses’ Health Study II」「Health Professionals Follow-up Study」、合計204689例を解析しました。2型糖尿病はアメリカ糖尿病学会(American Diabetes Association: ADA)の診断クライテリアを用いて確定しました。人口統計因子、生活習慣、併存疾患、他の内服歴、臨床的介入等を調整後のハザード比を算出しました。結果、2127471人年の追跡において、糖尿病の発生10105例が報告されました。プロトンポンプ阻害薬の常用は非使用者と比べて、糖尿病リスク24%高値(HR 1.24, 95% CI 1.17 to 1.31)でした。糖尿病リスクはプロトンポンプ阻害薬使用期間が増加するにつれて上昇しました。各因子調整後ハザード比は、プロトンポンプ阻害薬非使用者と比べて、プロトンポンプ阻害薬使用歴2年未満1.05(95% CI 0.93 to 1.19)、2年以上1.26(95% CI 1.18 to 1.35)でした。プロトンポンプ阻害薬の常用は2型糖尿病のハイリスクであり、使用期間が長いほどリスクは上昇しました。したがって、臨床家はプロトンポンプ阻害薬を処方する際、特に長期に使用する場合には注意を払うべきと論文ではまとめられています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32989021
プロトンポンプ阻害薬で2型糖尿病の増加を認めたというアメリカからの報告です。なぜプロトンポンプ阻害薬で2型糖尿病が増えるのかメカニズムはよくわかっていないようですが、腸内細菌叢の関係しているという説があるようです。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1009532893


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