2020/8/31、急性冠症候群の経皮的冠動脈形成術後、抗血小板薬2剤併用療法の減薬手段としてプラスグレル単剤治療の非劣勢試験「Prasugrel-based de-escalation of dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndrome (HOST-REDUCE-POLYTECH-ACS): an open-label, multicentre, non-inferiority randomised trial」の要旨をまとめました。P2Y12阻害薬による強力な抗血小板薬2剤併用療法は急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた後1年後まで推奨されています。強力な抗血小板療法のベネフィットは期間の早期に最大であり、一方で出血リスク慢性の維持期においても持続します。そこで、抗血小板療法の減薬は虚血と出血の至適な均衡を実現する可能性があります。プラスグレルによる抗血小板療法の減薬の安全性、有効性を評価するために、韓国、35施設、「HOST-REDUCE-POLYTECH-ACS」試験、無作為化オープンラベル、非劣勢試験を実施しました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた例を対象に、プラスグレルの投与基準を満たした例を、減薬群と従来群とウェブベースの無作為化システムにて無作為に割り振りました。治療群の割り振りは盲検で評価を行いました。プラスグレル10mg、アスピリン100mgを1ヶ月間投与後、減薬群はプラスグレル5mgへ減薬、従来群はプラスグレル10mgを継続しました。主要評価項目は1年以内の合計有害臨床事象(全死亡、非致死性心筋梗塞、無症候性血栓症、再血行再建術、脳卒中、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)基準グレード2以上の出血)としました。非劣勢マージンの絶対値は主要評価項目の2.5%としました。主要副次評価項目は、有効性転帰(心血管死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、虚血性脳卒中)、安全性転帰(BARC基準グレード2以上の出血)としました。一次解析は集団に対する処置意図分析としました。結果、2014年から2018年まで、3429例をスクリーニング、1075例はプラスグレルの適応基準を満たさなく、16例は無作為化エラーによって除外されました。2338例、減薬群1170例、従来群1168例に無作為に割り振りました。主要評価項目は減薬群82例(Kaplan-Meier estimate 7·2%)、従来群116例(10.1%)発生、非劣勢(absolute risk difference −2·9%, p non-inferiority<0·0001; hazard ratio 0·70 [95% CI 0·52–0·92], p equivalence=0·012)を認めました。虚血性リスクは減薬群は従来群と比べて非増加(0·76 [0·40–1·45]; p=0·40)、出血リスクは有意に減少(0·48 [0·32–0·73]; p=0·0007)を認めました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた東アジア人において、経皮的冠動脈形成術から1ヶ月後、プラスグレルによる減薬戦略は、虚血性リスクを増加させずに、主に出血を減少させることによって、1年間の合計臨床転帰を減少させました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31791-8/fulltext
急性心筋梗塞でステント留置後の抗血小板療法です。現在、9ヶ月前後の抗血小板薬2剤併用療法が推奨されていますが、さらに短く出来ないかという研究です。日本では、バイアスピリンとエフィエントの2剤による抗血小板療法9ヶ月が一般的ですが、個別の症例によって適宜調整します。詳しくは主治医までご相談ください。
2020/8/31、急性冠症候群の経皮的冠動脈形成術後、抗血小板薬2剤併用療法の減薬手段としてプラスグレル単剤治療の非劣勢試験「Prasugrel-based de-escalation of dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndrome (HOST-REDUCE-POLYTECH-ACS): an open-label, multicentre, non-inferiority randomised trial」の要旨をまとめました。