2020/10/24、慢性完全閉塞病変における冠動脈側副血行路と心筋生存能について調べた研究「Coronary collaterals and myocardial viability in patients with chronic total occlusions」の要旨をまとめました。

2020/10/24、慢性完全閉塞病変における冠動脈側副血行路と心筋生存能について調べた研究「Coronary collaterals and myocardial viability in patients with chronic total occlusions」の要旨をまとめました。慢性冠動脈完全閉塞(chronic coronary total occlusion)における心臓MRIによる定量化評価、冠動脈側副血行路(coronary collaterals)と心筋生存能(myocardial viability)の関係を調べるために、2013年から2018年、慢性完全閉塞、心臓MRIを実施した218例を対象に、側副血行路スコア(concomitant collateral connection score)2、レントロップグレード(Rentrop grade)3、発達良好な(well-developed)側副血行路146例(67%)、側副血行路スコア低値、レントロップグレード低値、発達不良な(poorly developed)側副血行路と定義しました。領域壁厚(segmental wall thickening)3mm未満の機能障害心筋、遅延ガドリニウム造影50%以下を、「生存能」と定義しました。遅延ガドリニウム造影50%超の広汎性瘢痕(extensive scar)は慢性完全閉塞部分の5%に認められました。慢性完全閉塞領域において、側副血行路が発達良好な場合、発達不良な場合と比べて、領域壁厚は高値(3.72±1.51 vs 3.05±1.60 mm, p<0.01)、広汎性瘢痕は低値(7.0 [0.1-16.7] vs 13.1% [2.8-22.2], p=0.048)でした。生存能は、慢性完全閉塞領域の側副血行路が発達不良な場合、発達良好な場合と比べて、良好(44% vs 30% of segments, p<0.01)、発達不良な側副血行路群において、主に機能障害心筋の存在の高値(51% vs 34% of segments, p<0.01)に由来しました。慢性完全閉塞に一致した心筋の梗塞領域は一般的に限定されていました。発達良好な側副血行路は広汎性瘢痕の小さいこと、機能の温存と関連を認めました。しかしながら、生存能は発達不良な側副血行路群において多く認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32122823
慢性完全閉塞の側副血行路の評価を心臓MRIで行った論文です。ガドリニウム造影を行うことによって、心筋生存能等、心筋の詳しい性状の評価が可能です。心臓MRIで造影を行うのはこのためです。詳しくは主治医とご相談ください。


PAGETOP