2020/10/12、急性冠症候群、糖尿病、に対してチカグレロルとプラスグレルを比較した研究「Ticagrelor or Prasugrel in Patients With Acute Coronary Syndromes and Diabetes Mellitus: ISAR-REACT 5」の要旨をまとめました。

2020/10/12、急性冠症候群、糖尿病、に対してチカグレロル、プラスグレルを比較した研究「Ticagrelor or Prasugrel in Patients With Acute Coronary Syndromes and Diabetes Mellitus: ISAR-REACT 5」の要旨をまとめました。糖尿病、急性冠症候群、侵襲的治療を予定されている例を対象に、チカグレロルとプラスグレルの有効性、安全性を評価しました。急性冠症候群、糖尿病、侵襲的治療を受ける場合、チカグレロルとプラスグレルの有効性、安全性は十分にわかっていませんでした。急性冠症候群、糖尿病あり892例、急性冠症候群、糖尿病なし3124例、プラスグレルとチカグレロルを比較した、5試験、「ISAR-REACT」(Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen: Rapid Early Action for Coronary Treatment)の事前指定解析を実施しました。主要評価項目は12ヶ月以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合としました。安全性の評価項目は12ヶ月以内の出血学術研究コンソーシアムタイプ3から5の出血としました。結果、主要評価項目は糖尿病コホートにおいて、チカグレロル群51例(11.2%)、プラスグレル群55例(13.0%)、有意差なし(hazard ratio: 0.84; 95% confidence interval: 0.58 to 1.24; p = 0.383)、非糖尿病コホートにおいて、チカグレロル群132例(8.6%)、プラスグレル群81例(5.2%)、有意差(hazard ratio: 1.70; 95% confidence interval: 1.29 to 2.24; p < 0.001)を認めました。治療と糖尿病の有無の有意な相関関係(pint = 0.0035)を認めました。出血学術研究コンソーシアムタイプ3から5の出血は、糖尿病コホートにて、チカグレロル群27例(6.9%)、プラスグレル群19例(5.5%)、有意差なし(p = 0.425)、非糖尿病コホートにて、チカグレロル群68例(5.2%)、プラスグレル群60例(4.6%)、有意差なし(p = 0.500)でした。糖尿病は、急性冠症候群において、チカグレロルとプラスグレルの有効性に影響をしている可能性があります。糖尿病例では、チカグレロルはプラスグレルと比べて、有効性が高い可能性がありました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33032712
急性冠症候群において、チカグレロル(ブリリンタ)とプラスグレル(エフィエント)の比較した「ISAR-REACT 5」試験の結果です。糖尿病なし例では両者に有効性、安全性の差を認めませんでしたが、糖尿病あり例ではチカグレロル群はプラスグレル群と比べて、有効性が高いという報告です。糖尿病の有無によって抗血小板薬の有効性に差が出るとはどういった理由なのか気になります。


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