2020/11/15、高齢、心筋梗塞後、オメガ3脂肪酸サプリメントの効果について調べた研究「Effects of n-3 Fatty Acid Supplements in Elderly Patients after Myocardial Infarction: A Randomized Controlled Trial: OMEMI」の要旨をまとめました。

2020/11/15、高齢、心筋梗塞後、オメガ3脂肪酸サプリメントの効果について調べた研究「Effects of n-3 Fatty Acid Supplements in Elderly Patients after Myocardial Infarction: A Randomized Controlled Trial: OMEMI」の要旨をまとめました。海洋性n-3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids: PUFA)を多く摂取することは心血管事象リスクの減少と関連していると言われていますが、しかしながら、最近の急性心筋梗塞後においては確定はしていませんでした。高齢、特に心筋梗塞後、心血管ハイリスク例に対しての試験は限られていました。オメガ3脂肪酸は有害事象は限定的で、心血管事象減少の可能性を持っています。高齢、急性心筋梗塞、生存例に対して、n-3多価不飽和脂肪酸1日1.8gを二次予防のための標準治療に追加することは2年間の追跡で心血管事象リスク減少するという仮説の検証のために、2-8週間以内の急性心筋梗塞後、70-82歳の高齢者、標準治療に加えて、1日1.8gの多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸930mg、ドコサヘキサエン酸660mgを追加する群とプラセボ群としてコーン油を投与する群、医師主導型多施設無作為化臨床試験、「OMEMI」(The OMega-3 fatty acids in Elderly with Myocardial Infarction)試験を実施しました。主要評価項目は2年間の非致死性急性心筋梗塞、予定外の血行再建、脳卒中、全死亡、心不全入院の複合としました。副次評価項目は新規の心房細動としました。安全性の評価項目は大出血としました。血清脂肪酸はアドヒアランスのバイオマーカーとして測定しました。結果、1027例参加、意図処置解析にて1014例追跡データが入手可能でした。平均年齢75歳、女性294例(29%)、中性脂肪の中央値111mg/dLでした。主要評価項目は、n-3多価不飽和脂肪酸群108例(21.4%)、プラセボ群102例(20.0%)、有意差なし(HR 1.08 [95%CI 0.82-1.41], p=0.60)でした。副次評価項目は、n-3多価不飽和脂肪酸群28例(7.2%)、プラセボ群15例(4.0%)、有意差なし(1.84 [0.98 -3.45], p=0.06)でした。エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の変化の中央値はそれぞれn-3多価不飽和脂肪酸群+87%、+16%、プラセボ群-13%、-8%でした。大出血はn-3多価不飽和脂肪酸群54例(10.7%)、プラセボ群56例(11.0%)、有意差なし(p=0.87)でした。プレプロトコル解析893例においても同様の所見でした。高齢者、最近の急性心筋梗塞において、1日1.8gのn-3多価不飽和脂肪酸の投与は臨床事象の減少を認めることは出来ませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.052209
エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、オメガ3脂肪酸の心血管疾患の二次予防の効果があるかどうか調べた「OMEMI」試験の結果、再発予防効果を認めなかったという結果です。同日発表の「STRENGTH」試験では一次予防においても効果を認めませんでした。詳しくは以前のまとめをご覧ください。
「2020/11/15、心血管ハイリスクに対して高用量オメガ3脂肪酸の主要有害心血管事象への影響をコーン油と比較した研究「Effect of High-Dose Omega-3 Fatty Acids vs Corn Oil on Major Adverse Cardiovascular Events in Patients at High Cardiovascular Risk The STRENGTH Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/21186
EPA、DHA製剤の運命は今後どうなってしまうのでしょうか。


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