2020/11/7、ST上昇型心筋梗塞、多枝病変に対する完全血行再建と心血管死亡の関係について調べた研究「Complete revascularization reduces cardiovascular death in patients with ST-segment elevation myocardial infarction and multivessel disease: systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials」の要旨をまとめました。

2020/11/7、ST上昇型心筋梗塞、多枝病変に対する完全血行再建と心血管死亡の関係について調べた研究「Complete revascularization reduces cardiovascular death in patients with ST-segment elevation myocardial infarction and multivessel disease: systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials」の要旨をまとめました。ST上昇型心筋梗塞、多枝病変の非責任病変の血行再建の予後に与える影響について、メタ解析、無作為化臨床試験によって評価しました。6つの無作為化対照試験、ST上昇型心筋梗塞、多枝病変、完全血行再建と責任病変のみの血行再建を比較、無作為化影響逆分散法メタ解析を実施しました。評価項目はハザード比、95%信頼区間を算出しました。主要評価項目は心血管死亡としました。主要関心副次評価項目は全死亡、心筋梗塞、冠動脈再血行再建としました。全体、6528例、完全血行再建群3139例、責任病変単独群3389例でした。1年から3年、中央値2年間の追跡後、心血管死亡は完全血行再建群で有意に減少(HR 0.62, 95% CI 0.39-0.97, I2 = 29%)を認めました。心血管死亡を防ぐための治療必要数は70(95% CI 36-150)でした。心筋梗塞、血行再建の副次評価項目は有意な低下(HR 0.68, 95% CI 0.55-0.84, I2 = 0% and HR 0.29, 95% CI 0.22-0.38, I2 = 36%, respectively)を認めました。心筋梗塞回避のための治療必要数は45(95% CI 37-55)、血行再建回避のための治療必要数は8(95% CI 5-13)でした。全死亡(HR 0.81, 95% CI 0.56-1.16, I2 = 27%)は血行再建戦略によって影響を受けませんでした。ST上昇型心筋梗塞、多枝病変、完全血行再建戦略は心血管死亡の減少と関連していました。心筋梗塞、再血行再建の必要性の減少においても一貫していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31891653
多枝病変の血行再建は完全血行再建が良いという報告です。ハザード比38%、治療必要数8から45と差が着いており、完全血行再建が望ましいという結果です。

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