2020/12/1、動脈硬化性起源の急性非重症虚血性脳卒中、一過性脳虚血性発作に対してアスピリンにチカグレロル追加の研究「Ticagrelor Added to Aspirin in Acute Nonsevere Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack of Atherosclerotic Origin」の要旨をまとめました。一過性脳虚血発作、軽症脳卒中において、同側の脳血管の動脈硬化性狭窄は血管事象の再発ハイリスクです。二重盲検「THALES」(The Acute Stroke or Transient Ischemic Attack Treated With Ticagrelor and ASA for Prevention of Stroke and Death)試験は、非心原性、非重症虚血性脳卒中または、ハイリスク一過性脳虚血発作において、発症24時間以内にアスピリン(1日目負荷投与300-325mg、2日目から30日目まで75-100mg1日1回)にチカグレロル(1日目負荷投与180mg、その後2日目から30日目まで90mg1日2回)を追加する群、またはプラセボ群、無作為化しました。同側の動脈硬化性狭窄病変、30%以上の狭窄の有無としました。主要評価項目は30日以内の脳卒中、死亡の発生までの時間としました。結果、11015例、同側動脈硬化性狭窄2351例(21.3%)がありました。30日後の主要評価項目は、同側狭窄あり、チカグレロル群1136例中92例(8.1%)、プラセボ群1215例中132例(10.9%)、有意差(hazard ratio 0.73 [95% CI, 0.56–0.96], P=0.023)を認め、治療必要数は34(95% CI, 19–171)でした。同側の狭窄なし例では、事象発生率はチカグレロル群4387例中211例(4.8%)、プラセボ群4278例中230例(5.4%)、有意差なし(hazard ratio, 0.89 [95% CI, 0.74–1.08]; P=0.23, Pinteraction=0.245)でした。重症出血は、同側の動脈硬化性狭窄あり、チカグレロル群4例(0.4%)、プラセボ群3例(0.2%)、有意差なし(P=NS)、同側の動脈硬化性狭窄なし、チカグレロル群24例(0.5%)、プラセボ群4例(0.1%)、有意差(hazard ratio=5.87 [95% CI, 2.04–16.9], P=0.001)を認めました。アスピリンにチカグレロル追加群とアスピリン単独群の比較解析では、同側の動脈硬化性狭窄ありにおいては治療効果を認めず、同側の動脈硬化性狭窄のサブグループの相互関係は認めませんでしたが、同側の動脈硬化性狭窄なしと比べて、30日間の脳卒中、死亡の絶対リスク減少を認めました。容易に特定可能性な集団においては、チカグレロルをアスピリンに追加することは、治療必要数34(95% CI, 19–171)と、臨床的に有益性をもたらしました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.120.032239
虚血性脳卒中の急性期において、同側の動脈硬化性狭窄を認める場合には、アスピリン、チカグレロルの抗血小板薬2剤併用療法が有用であるという報告です。
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2021/0115534728
2020/11/16、動脈硬化性起源の急性非重症虚血性脳卒中、一過性脳虚血性発作に対してアスピリンにチカグレロル追加の研究「Ticagrelor Added to Aspirin in Acute Nonsevere Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack of Atherosclerotic Origin」の要旨をまとめました。