2021/2/12、完全冠動脈閉塞の血行再建の10年予後を経皮的と外科的を比較した研究「Mortality 10 Years After Percutaneous or Surgical Revascularization in Patients With Total Coronary Artery Occlusions」の要旨をまとめました。

2021/2/12、完全冠動脈閉塞の血行再建の10年予後を経皮的と外科的を比較した研究「Mortality 10 Years After Percutaneous or Surgical Revascularization in Patients With Total Coronary Artery Occlusions」の要旨をまとめました。完全閉塞、複雑冠動脈疾患に対して、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術後の長期臨床有益性は十分に定量化されていませんでした。完全閉塞に対して経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術後、10年間の全死亡率を評価するために、「SYNTAX」(Synergy Between PCI With Taxus and Cardiac Surgery)研究の10年間の全死亡率を評価した「SYNTAXES」(Synergy Between PCI With Taxus and Cardiac Surgery Extended Survival)研究、1枝以上の完全閉塞のサブ解析、もともとの追跡期間からさらに5年間追跡しました。完全閉塞例は完全閉塞再開通例または再血行再建例に分類しました。結果、1800例、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術へ無作為化、460例は1枝以上の完全閉塞を認めました。完全閉塞例においては、完全閉塞の再開通または再血行再建の状態は、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術に関わらず、10年後死亡率と関連なし(PCI arm: 29.9% vs. 29.4%; adjusted hazard ratio [HR]: 0.992; 95% confidence interval [CI]: 0.474 to 2.075; p = 0.982; and CABG arm: 28.0% vs. 21.4%; adjusted HR: 0.656; 95% CI: 0.281 to 1.533; p = 0.330)でした。完全閉塞が左主幹部または左前下行枝の場合は、完全閉塞の再開通または再血行再建の状態は死亡率に影響なし(34.5% vs. 26.9%; adjusted HR: 0.896; 95% CI: 0.314 to 2.555; p = 0.837)でした。10年追跡の結果、完全閉塞の再開通または再血行再建の状態は、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術に関わらず、死亡率に影響しませんでした。本研究結果は、薬物療法に抵抗性の狭心症の管理において、心筋バイアビリティが確認された場合、再開通が一次選択肢、慢性完全閉塞に対する経皮的冠動脈形成術の件数の多い施設における現在の治療を支持するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.11.055
完全慢性閉塞病変の10年追跡結果です。経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術とで死亡率に差がなかったとの報告ですが、一般的に経皮的冠動脈形成術よりも冠動脈バイパス術のほうが長期の転帰が良いことが多いので、長期転帰に差がないのであれば経皮的冠動脈形成術も慢性完全閉塞病変に対して十分選択肢になるということではないでしょうか。このへんの判断は術者の判断に任せるのが良いでしょう。

PAGETOP