2021/1/11、心房細動に対して、左心耳閉鎖術と直接経口抗凝固薬を比較した研究「Clinical Outcomes Associated With Left Atrial Appendage Occlusion Versus Direct Oral Anticoagulation in Atrial Fibrillation」の要旨をまとめました。

2021/1/11、心房細動に対して、左心耳閉鎖術と直接経口抗凝固薬を比較した研究「Clinical Outcomes Associated With Left Atrial Appendage Occlusion Versus Direct Oral Anticoagulation in Atrial Fibrillation」の要旨をまとめました。ハイリスク心房細動の臨床転帰に関して、左心耳閉鎖術(left atrial appendage occlusion: LAAO)と直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants: DOACs)を比較しました。左心耳閉鎖術は心房細動の脳卒中予防のためにワルファリンと比べて非劣勢であることが知られています。しかし、直接抗凝固薬による抗凝固療法は心房細動の血栓予防の観点からワルファリンよりも好まれる傾向にあります。デンマーク、「Amulet Observational Registry」、心房細動1088例、「Amplatzer Amulet device」による左心耳閉鎖術1087例、心房細動で直接経口抗凝固薬投与1184例、傾向スコアマッチング対照コホートと比較しました。脳卒中、出血予測スコアとして、CHA2DS2-VAScスコア(うっ血性心不全、高血圧、年齢75歳以上、糖尿病、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往、血栓塞栓症、血管疾患、年齢65歳以上74歳以下、性別)、HAS-BLEDスコア(高血圧、肝機能異常、腎機能異常、脳卒中、安定していない国際標準比、高齢者、薬剤、アルコール)を傾向スコアマッチングしました。主要評価項目は2年間の虚血性脳卒中、出血学術研究コンソーシアム3以上の大出血、全死亡の複合としました。結果、心房細動、左心耳閉鎖術群は直接経口抗凝固薬群と比べて、複合主要評価項目リスクの有意な低下(hazard ratio [HR]: 0.57; 95% confidence interval [CI]: 0.49 to 0.67)を認めました。総事象、100人年あたりの事象発生率は、左心耳閉鎖術群、直接経口抗凝固薬群、それぞれ、256 vs. 461、14.5 vs. 25.7でした。虚血性脳卒中リスクは群間で同等(HR: 1.11; 95% CI: 0.71 to 1.75)でしたが、大出血リスク(HR: 0.62; 95% CI: 0.49 to 0.79)、全死亡(HR: 0.53; 95% CI: 0.43 to 0.64)は左心耳閉鎖術群で有意に低下を認めました。ハイリスク心房細動において、左心耳閉鎖術は直接経口抗凝固薬と比べて、脳卒中予防の有効性は同様でしたが、大出血、死亡リスクを低下する可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33413867
心房細動に対する左心耳閉鎖術の成績です。脳卒中予防効果は直接経口抗凝固薬と比べて差はなく、大出血、全死亡が有意に低下したとの報告です。カテーテルアブレーションを目指さない場合には、良い選択肢となっていく可能性があります。心房細動の根治術としてのカテーテルアブレーション、心房細動の根治はしないものの血栓塞栓症予防のための左心耳閉鎖術、どちらも適応でない場合の抗凝固療法という位置付けになっていくのかも知れません。時代は変わりますね。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/circ/202102/569004.html

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