2021/3/2、非ST上昇型急性冠症候群において冠動脈CT血管造影の予測能について調べた研究「Prognostic Value of Coronary CT Angiography in Patients With Non-ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes」の結果が発表されました。侵襲的冠動脈血管造影(invasive coronary angiography: ICA)によって評価された冠動脈疾患の重症度、範囲は、非ST上昇型急性冠症候群(non-ST-segment elevation acute coronary syndrome: NSTEACS)の治療ガイド、臨床転帰の予測につながります。本研究では、冠動脈CT血管造影(coronary computed tomography angiography: CTA)は非ST上昇型急性冠症候群のリスク評価において侵襲的冠動脈血管造影と同等ではないかという仮説を検証しました。「VERDICT」(Very Early Versus Deferred Invasive Evaluation Using Computerized Tomography in Patients With Acute Coronary Syndromes)試験では、非ST上昇型急性冠症候群の転帰と関連する治療のタイミングを評価、侵襲的冠動脈血管造影の前に冠動脈CT血管造影を臨床家には盲検で実施しました。冠動脈疾患の重症度は、冠動脈狭窄50%以上を閉塞性、50%未満を非閉塞性と定義しました。冠動脈疾患の範囲は、閉塞性の左主幹部、左前下行枝近位部狭窄、多枝病変を高リスク、それ以外を非高リスクと定義しました。主要評価項目は全死亡、非致死的心筋梗塞再発、抵抗性心筋虚血入院、心不全の複合としました。冠動脈CT血管造影、侵襲的冠動脈血管造影978例に実施、中央値追跡期間4.2年間、主要評価項目208例(21.3%)発生しました。主要評価項目の発生率は、閉塞性の冠動脈疾患は冠動脈CT血管造影によって定義された非閉塞性冠動脈疾患と比べて1.7倍高率(hazard ratio [HR]: 1.74; 95% confidence interval [CI]: 1.22 to 2.49; p = 0.002)、侵襲的血管造影による評価(HR: 1.54; 95% CI: 1.13 to 2.11; p = 0.007)でした。高リスク冠動脈疾患において、主要評価項目の発生率は冠動脈CT血管造影によって定義された非高リスク冠動脈疾患と比べて、1.5倍高率(HR: 1.56; 95% CI: 1.18 to 2.07; p = 0.002)でした。侵襲的冠動脈血管造影においても同様の傾向(HR: 1.28; 95% CI: 0.98 to 1.69; p = 0.07)でした。冠動脈CT血管造影は非ST上昇型急性冠症候群における長期リスクの評価において侵襲的冠動脈血管造影と同等でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33632478
急性冠症候群の冠動脈の評価において冠動脈CTと冠動脈カテーテルを比較した結果、冠動脈CTでも十分に高い精度で評価が可能だったという報告です。冠動脈疾患のリスクに応じて、心電図、心筋トロポニン迅速検査→冠動脈CT→冠動脈カテーテルという順番で精密検査を進めていけば良いという結果です。
2021/3/2、非ST上昇型急性冠症候群において冠動脈CT血管造影の予測能について調べた研究「Prognostic Value of Coronary CT Angiography in Patients With Non-ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes」の結果が発表されました。