2022/11/29、日本腎臓学会「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」が公開されました。
https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/ckdsglt2recommendation.php
https://jsn.or.jp/medic/data/SGLT2_recommendation20221129.pdf
以下、要点を抜粋します。
Recommendation
SGLT2 阻害薬は,糖尿病合併・⾮合併にかかわらず,慢性腎臓病(CKD)患者において腎保護効果を⽰すため,リスクとベネフィットを⼗分に勘案して積極的に使⽤を検討する.
糖尿病合併 CKD 患者:アルブミン尿(蛋⽩尿),腎機能に関係なく腎保護効果が期待されるため,クリニカルエビデンスを有する SGLT2 阻害薬の積極的な使⽤を考慮する(eGFR15 mL/min/1.73m2 未満では新規に開始しない.継続投与して 15m L/min/1.73m2未満となった場合には,副作⽤に注意しながら継続する).
糖尿病“⾮”合併 CKD 患者:蛋⽩尿陽性の CKD(IgA 腎症や巣状分節性⽷球体硬化症など)には,原疾患の治療に加えてクリニカルエビデンスを有する SGLT2 阻害薬の積極的な使⽤を考慮する.(eGFR15 mL/min/1.73m2 未満では新規に開始しない.継続投与して 15 mL/min/1.73m2未満となった場合には,副作⽤に注意しながら継続する).
糖尿病合併・⾮合併にかかわらず,SGLT2 阻害薬投与後に eGFR の低下(eGFR initial dip)を認める場合があり,早期(2 週間〜2 ヶ⽉程度)に eGFR を評価することが望ましい.その後も eGFR が維持されている事を確認する.過度に eGFRが低下する場合は腎臓専⾨医への紹介を考慮する.
⾼⾎圧,貧⾎,脂質異常症,⾼尿酸⾎症を有する CKD に対する SGLT2 阻害薬の投与は有⽤である可能性がある.
糖尿病“⾮”合併 CKD 患者においても,⾷事摂取量の不⾜,栄養不良状態,飢餓状態,激しい筋⾁運動,過度のアルコール摂取,副腎機能不全,下垂体機能不全,シックデイなどの状況下では低⾎糖や正常⾎糖ケトアシドーシスなどの代謝異常を⽣じる可能性があるため,SGLT2 阻害薬の中⽌を考慮する.⾷事摂取ができない⼿術が予定されている場合には,術前 3 ⽇前から休薬し,⾷事が⼗分摂取できるようになってから再開する.
利尿薬を使⽤している CKD 患者や⾎糖コントロールが極めて不良な糖尿病患者では,脱⽔や急性腎障害を来す可能性があるため注意が必要である.
⾼齢 CKD 患者への投与の際には,サルコペニアやフレイルの発症・増悪に注意する.
SGLT2 阻害薬は糖尿病“⾮”合併 CKD 患者においても尿路・性器感染症の発症・増悪が懸念されるため,投与後は注意を払う必要がある.
多発性嚢胞腎,ループス腎炎,ANCA 関連⾎管炎,免疫抑制療法中の患者へのSGLT2 阻害薬投与に関しては,現時点で⼗分なクリニカルエビデンスが存在しないため,これらの症例に対しては,適応について慎重に判断する.
本薬剤の適応やエビデンスを勘案した上で,薬剤添付⽂書に⽰されている安全性情報に注意を払い,本 recommendation を⼗分に踏まえて適正に使⽤する.
https://medical-tribune.co.jp/news/2022/1208548412/
2022/11/29、日本腎臓学会「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」が公開されました。