「日経メディカル」の連載「医療4.0~第4次産業革命時代の医療~」にてお茶の水循環器内科院長の五十嵐の対談記事が公開されました。

「日経メディカル」の連載「医療4.0~第4次産業革命時代の医療~」にてお茶の水循環器内科院長の五十嵐の対談記事が公開されました。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/iryou4/201808/557509.html

第一弾の中山先生に引き続き、「医療において変わりゆくものと変わらないもの」というタイトルで、本日記事が公開されました。記事閲覧には会員登録が必要です。ざっくり内容としては、今後医師の仕事がどうなっていくのか、保険診療の範囲がどうなっていくのか、自然治癒する疾患はOTC薬や自宅療養等のセルフメディケーションが中心となるであろうこと、予防可能な疾患は原則予防第一になるであろうこと、医療情報の非対称性はフラット化していくとともに情報提供だけに終わらない事後対応が重要性が増すであろう、人工知能の浸透の過程で「判断責任ミスマッチ」という概念に突き当たるだろう、変わりゆくものと変わらないものをきちっと見極めること、変化の違いを見極めるためには現場にいることが大事であること、必要な人材としては、これからの未来はどうなるんだろうという傍観者ではなく、こういう未来を創りたいという強い主体性や使命感を持った挑戦者が重要で、そのためにデジタルハリウッド大学院にて「デジタルヘルスラボ」を立ち上げたこと、などをお話しました。

ちなみに、「医療において変わりゆくものと変わらないもの」という記事タイトルは、「ニーバーの祈り」という言葉からインスパイアされたものです。「Serenity Prayer(静穏の祈り)」という詩で、いくつかの原文や訳があるのですが、一番気に入っているのを引用します。

「God, grant me the

Serenity to accept what cannot be changed,

Courage to change what should be changed,

and Wisdom to distinguish the one from the other.

Reinhold Niebuhr」

(訳)

「主よ、お与えください。

変えられないものを受け入れる静穏と、

変えられるものを変える勇気と、

そして、変えられるものと変えられないものとを識別する叡智を。

ラインホールド・ニーバー」

私は特に神を信じる者ではないのですが、この言葉は世の真理を突いているなあといつも感じています。変えられるものと変えられないものというのは、医療においても同様で、病気や人間の身体の行動など、変えられるものと変えられないものがあります。変えられないものを変えようとすることは意味がないばかりか時間の無駄であるし、変えられるものを一つづつ変えていくことが医療の発展でもあります。また、それ以上に、変えられるものと変えられないものを見極めることが非常に重要で、人間の寿命や物理法則など、もはや自然の摂理であり、これ以上変えようのないものもあります。一方で、非合理的なルールや現場に合わない社会制度などはどんどん変えていく必要があります。そのような視点を常に頭の片隅に置きながら、現場で一生懸命に取り組むことが大事なんじゃないかと考えています。長くなりそうなのでこのへんで、興味がある方はぜひ本を読んでみてください。


「医療4.0~第4次産業革命時代の医療~」→https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/series/iryou4

【連載の紹介】

医療4.0~第4次産業革命時代の医療~

現在販売中の書籍『医療4.0 第4次産業革命時代の医療~未来を描く30人の医師による2030年への展望~』(写真)から、第3章の転載です。2030年の医療の現場は、第4次産業革命で登場する人工知能やIoTなどの技術革新により、大きく変わります。未来を見据える医師30人とともに、2030年の医療を展望します。

『医療4.0(第4次産業革命時代の医療)』好評発売中

2030年の医療現場は、第4次産業革命で登場する人工知能(AI)やIoTなどの技術革新により、大きく変わります。こうしたテクノロジーが医療現場に導入されると、「医療4.0」が到来し、多角化、個別化、主体化が進んでいきます。テクノロジーを適切に活用し、医療現場の課題解決に結びつけるにはどうしたらよいか。未来を見据える医師30人の提案とともに、医療の未来を展望します。 第3章は、医療現場の課題から、テクノロジーを用いた解決に取り組む医師30人とのインタビュー。第4次産業革命のテクノロジーが医療現場を変える可能性と、それぞれが描く2030年の医療の姿とは。(加藤 浩晃著、日経BP社、2484円税込み)

日経BP書店→https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/18/268240

amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4822256103


【お茶の水循環器内科になりました】
お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関に生まれ変わりました。
ミッション→https://ochanomizunaika.com/mission
我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、血管を守ることで予防が可能です。血管を守るとは、具体的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続をすることです。そのために、循環器専門の医療機関として特化し、夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続、循環器疾患の一次予防、二次予防のために診療を行っています。心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
2018年4月1日、お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法
・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法
・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)
・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・糖尿病、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病
・睡眠時無呼吸症候群
・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。

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