「循環器内科.com」に「埋込型心電計」についてまとめました。

「循環器内科.com」に「埋込型心電計」についてまとめました。
埋込型心電計→http://循環器内科.com/icm


【埋込型心電計とは】

埋込型心電計(Insertable cardiac monitor: ICM)とは、不整脈診療のための強力なツールです。植え込み型ループ心電計、植え込み型ループレコーダーとも言います。動悸や失神の診療においては症状出現時の心電図記録が重要です。しかし、症状の頻度によっては、心電図、ホルター心電図にて十分に検出出来ない場合が少なくありません。原因不明の失神、原因不明の脳梗塞、原因不明の動悸に対して、センサーを皮下に埋め込むことによって、最長3年間、長期に渡って心電のモニタリングが可能になりました。それまで原因不明の失神や脳梗塞、動悸であったものが、埋込型心電計によって初めて診断が着いたという事例が多く報告されています。

【症状出現時の心電図記録の方法】

動悸や胸痛などの症状が発作性に出る場合、診断のためには症状出現時の心電計記録が重要になります。症状出現時の心電図記録には主に4つの方法があります。いずれかの方法で症状出現時の心電図記録を目指します。

1、来院時心電図

2、ホルター心電図

3、携帯型心電計

4、埋込型心電計

一番理想は来院時に症状出現しており、そのまま症状出現時の心電図記録が可能な場合です。症状出現時の心電図記録が出来ればその場で診断が着きます。次に、来院時に症状がない場合に適応になるのがホルター心電図です。24時間から長期のもので7日間程度まで連続して心電計記録が可能で、24時間の間に1回以上、7日間の間に1回以上、症状が出現する場合は、症状出現時の心電図記録が出来れば確実に診断をすることが出来ます。症状出現時の心電図記録のために、ホルター心電図を何回か繰り返し行う場合もあります。詳しくはホルター心電図のページをご覧ください。

ホルター心電図→http://循環器内科.com/holter

問題は、ホルター心電図を何度か繰り返し行っても症状出現時の心電図記録が捕まらない場合や症状の頻度によっては症状出現時の心電図記録が難しい場合があります。その場合に、携帯型心電計が有用です。日常生活の中で使える家庭用の携帯型の心電計で、動悸や胸痛などの症状が出た時のために携帯していただき、その場で記録が出来ることがメリットです。

携帯型心電計→http://循環器内科.com/hcg

上記のいずれの手段によっても診断が難しい場合、埋込型心電図の適応を考慮します。

【埋込型心電計の適応】

日本循環器学会「失神の診断・治療ガイドライン」によると、植込み型ループレコーダーの適応として、以下のように記載されています。

・クラスⅠ

1.ハイリスク所見はないが、心原性以外の原因が否定的で、デバイスの電池寿命内に再発が予想される原因不明の再発性失神患者の初期段階での評価

2.ハイリスク所見を有するが包括的な評価でも失神原因を特定できず、あるいは特定の治療法を決定できなかった場合

・クラスⅡa

1.頻回に再発あるいは外傷を伴う失神歴がある反射性(神経調節性)失神の疑いを含む患者で、徐脈に対するペースメーカ治療が考慮される場合

詳しくは日本循環器学会「失神の診断・治療ガイドライン」をご覧ください。

「失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_inoue_h.pdf

簡単に言えば、従来の検査によって十分に確定診断が出来ていない原因不明の失神、原因不明の脳梗塞、原因不明の動悸等の不整脈を疑う例など、それでも確実な診断をしなければならない場合、埋込型心電計の適応を考慮します。アメリカ心臓協会、アメリカ不整脈学会のガイドラインでも同様の記載があります。

「2017 ACC/AHA/HRS Guideline for the Evaluation and Management of Patients With Syncope: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society」

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIR.0000000000000499

【埋込型心電計】

小型の心電計を体内に埋め込むことにより、バッテリーは最長3年間、症状出現時の心電図を確実に記録します。主に、Medtronic社の「Reveal LINQ」というデバイスが主流です。装置のサイズは60mm×20mm×8mm、小さなスティック状で、埋込部位は前胸部、局所麻酔、皮膚切開は20mm程度、10分程度の小手術です。日帰り手術で、術後当日に帰宅が可能です。日常生活に特に支障はなく、MRIも一部制限はあるものの撮影可能です。いずれにせよ、体内にセンサーを埋込むので手術の必要があること、本当に必要な方が適応となります。飛行機の操縦士、新幹線の運転、トラックの運転、高所作業などに関わる仕事の方は、一回の発作が重大な事故を引き起こす危険性があるため、確実な診断が必要な場合があります。必要な場合は専門の診療科へ紹介します。詳しくは下記ページをご覧ください。

東京大学医学部付属病院循環器内科不整脈チーム→https://cardiovasc.m.u-tokyo.ac.jp/clinical/arrythmia/icm

順天堂大学医学部付属順天堂医院循環器内科→https://www.juntendo.ac.jp/hospital/information/topics/detail/no90.html

聖マリアンナ医科大学東横病院「失神センター」→http://marianna-toyoko.jp/g0102002

Medtronic「失神.jp」→https://shisshin.jp

【重要】来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
東京都医療機関案内サービスひまわり:03-5272-0303
https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop

【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン管理、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。

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