心房細動のガイドライン改訂について仙台の土橋内科医院院長の小田倉先生のまとめがわかりやすいです。

心房細動のガイドライン改訂について仙台の土橋内科医院院長の小田倉先生のまとめがわかりやすいです。
心房細動な日々「日本の不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)が発表されました」→https://dobashin.exblog.jp/239198373
今回、心房細動に対するカテーテルアブレーションについて、実質的に推奨拡大となりました。具体的には、AFに対するカテーテルアブレーションの推奨とエビデンスレベルは以下の通りです。
・高度の左房拡大や左室機能低下を認めず、薬物治療抵抗性の症候性発作性AF:I A
・症候性再発性発作性 AF に対する第一選択治療としてのカテーテルアブレーション:IIa B
・心不全(左室機能低下)の有無にかかわらず、同じ適応レベルを適用する:IIa B
・徐脈頻脈症候群をともなう発作性AF:IIa B
・症候性持続性AF:IIa B
・症候性長期持続性AF:IIb B
・無症候性発作性AFで再発性のもの:IIb C
・無症候性持続性AF:IIb C
・左房内血栓が疑われる場合:III A
・抗凝固療法が禁忌の場合:III A
薬物治療抵抗性:少なくとも1種類のI群またはIII群抗不整脈薬が無効
小田倉先生も指摘しているように、注目すべき点は薬物治療抵抗性の症候性発作性がいきなりカテーテルアブレーションが推奨I、エビデンスレベルAで推奨となったことです。実際のところ、抗不整脈薬1つで止まる心房細動というのは本当に少ないので、アブレーションが実質的に第一選択として推奨が拡大したと解釈出来ると思います。

AFアブレーション周術期の抗凝固療法の推奨とエビデンスレベルについては、
・持続性AFおよび高リスク例(CHADS2スコア2点以上)では、ワルファリンあるいはDOACを、少なくとも 3 週間以上使用すべきである:IIa C
・ワルファリンもしくはダビガトランによる抗凝固療法が行われている患者では、休薬なしでAFアブレーションを施行することが推奨される:I A
・リバーロキサバン、アピキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では、休薬なしでAFアブレーションを施行することが推奨される:IIa B
・エドキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では、休薬なしでAFアブレーションを施行することは合理的である:IIa B
・DOAC による抗凝固療法が行われている患者では、AF アブレーション施行前に抗凝固薬を1もしくは2回休薬し、アブレーション後に再開することが推奨される:IIa B
・ヘパリンは、鼠径部穿刺後あるいは心房中隔穿刺後に至適用量をボーラス投与し、アブレー ション手技中はACT値を300秒以上に維持する:I B
・術後の抗凝固療法(ワルファリンあるいはDOAC)は、再発の有無にかかわらず、少なくとも3ヵ月間継続することが推奨される:IIa C
・術後3ヵ月以降の抗凝固療法(ワルファリンあるいはDOAC)に関しては、長期経過観察期間中のAF再発を考慮し、CHADS2スコア2 点以上の患者では継続投与することが望ましい:IIa C
さらに、術後の抗凝固療法について本文中で、
・CHADS2スコア0点で左房拡大のない発作性AF症例では、抗凝固薬は3ヵ月後に中止可能
・CHADS2スコア1点では、発作性か持続性か、塞栓リスクと出血リスク、左房径、BNP値、D-dimer値、患者の意向などを総合的に判断し、中止または続行を決定
・AFの再発は心電図、ホルター心電図、携帯型心電計などで評価するが、無症候性のAFもあり、注意を要する
・発作性AFでは,術後外来受診時ごとの心電図のほか、術後3ヵ月、抗不整脈薬や抗凝固薬の中止を判断する際、外来経過観察の終了時(術後12ヵ月など)にホルター心電図による評価が推奨
・持続性AFでは上記に加え、6ヵ月ごとのホルター心電図による評価が推奨 
と記載されました。
つまり、術後の抗凝固療法は、CHADS2スコアによって、0点は中止可能、2点以上は継続、1点の場合はケースバイケース、ということになりました。現時点で、カテーテルアブレーションは抗凝固療法の中止を目的に適応するものでは必ずしもないと言うことが出来るかと思います。アブレーション後の抗凝固療法は何ヶ月、何年間続ける必要があるのか、中止を望む場合は中止の基準など、今後のエビデンスの蓄積、コンセンサスが明確になり次第またまとめようと思います。詳しくは「不整脈非薬物治療ガイドライン」をご覧ください。
「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf

【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。主な対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
東京都医療機関案内サービスひまわり:03-5272-0303
https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop

【お茶の水循環器内科院長挨拶】

お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐です。お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療開始と治療継続のためにお茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。世の中から救えるはずの病気をなくすこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【お茶の水循環器内科の具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性冠症候群、急性心筋梗塞、不安定狭心症、冠攣縮性狭心症、労作性狭心症、慢性冠動脈疾患、陳旧性心筋梗塞、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(洞不全症候群、心房細動、心房粗動、上室期外収縮、発作性上室頻拍、WPW症候群、房室ブロック、脚ブロック、Brugada症候群、心室頻拍、QT延長症候群、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈瘤状拡大、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症、高血圧切迫症、他
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン療法、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お茶の水循環器内科までお気軽にご相談ください。

【循環器内科.com】
循環器内科.comはお茶の水循環器内科が運営する循環器内科を中心とした医療情報サイトです。循環器内科はどうしても専門的な用語や概念が多く登場し、わかりにくいところが多いですが、正確で情報を整理しておきたいという気持ちで循環器内科.comを始めました。リンクがまだないものはこれから執筆予定のもので、日々更新中です。内容についてわからない点があればお茶の水循環器内科までご相談ください。
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【冠動脈疾患】
代表的な診療の流れ→http://循環器内科.com/flow
胸痛の診療の進め方→http://循環器内科.com/chestpain
急性冠症候群→http://循環器内科.com/acs
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期外収縮の診療の仕方→http://循環器内科.com/pc
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