日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」の食事療法の変更点についてまとめました。

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」の食事療法の変更点についてまとめました。2019/10/17(木)、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」が発表されました。
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
「日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」の内容についてまとめました。」→
https://ochanomizunaika.com/11986
以前、ガイドラインの内容についてまとめを作ったのですが、食事療法については今回の改訂で微妙に変更されていました。糖尿病の診断基準については2016年版と変更はなく、コントロール目標値についても「6-7-8」の3段階で設定した2013年の「熊本宣言」と変わりはありません。

変更点は食事療法についてで、総エネルギー摂取量の算定方法について、以前は身長×身長×22kgで定義される「標準体重」に、軽い労作、普通の労作、重い労作の3段階で定義される「身体活動量」(kcal/kg標準体重)を乗じて、総エネルギー摂取量の推奨値としていましたが、その後、標準体重は従来の基準であるBMI換算22よりも、BMI換算20-25の範囲内で最も死亡率が低いと報告されて来ていることを受けて、2019年版では「目標体重」という表現に変わり、BMIを一律に22ではなく、年齢とともに3段階に設定されました。また、75歳以上の高齢者に対して過度のエネルギー制限によってサルコペニアやフレイルの誘因となってしまうことも懸念し、適宜柔軟に対応することとされました。具体的には、年齢によって、65歳未満の目標体重は従来通りBMI換算で22であるのに対し、65-74歳、75歳以上ではBMI換算で22-25と少し幅が設定されました。身体活動量は「エネルギー係数」と、表現は多少変更されましたが、軽い労作、普通の労作、重い労作の3段階で評価すること自体は大きな変わりはありません。
蛋白質、脂質、炭水化物の栄養素摂取比率についても、炭水化物制限や糖質制限食をめぐる関心が高まっていますが、明確なエビデンスがないことから推奨は見送られたとのことです。
上図はメディカルトリビューンの記事から引用させていただきました。
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2019/1210523054
他、経口血糖降下薬の推奨について、個別の経口血糖降下薬の優先順位や薬剤選択アルゴリズムを提示することはせずに、個々の病態に応じた使い分けとだけ記載されています。
間質液中グルコース濃度モニタリング(Flash Glucose Monitoring(FGM)の有用性については初めて言及されました。
糖尿病に合併した高血圧症に対しては、以前はACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体阻害薬の2つがグレードAで推奨されていましたがが、その後RAA系阻害薬が他の降圧薬に比べて特別に優越性があるというエビデンスは認めないことから、今回の改訂で、カルシウム拮抗薬、サイアザイド系利尿薬も同列に4つとも推奨グレードBに変更されました。
糖尿病に合併した脂質異常症に対しては、LDLコレステロールの治療目標値としては従来の120未満から、100未満、70未満とより厳格な管理目標が追加されました。
他は以前まとめた通りです。詳しくは下記ページをご覧ください。
「日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」の内容についてまとめました。」→https://ochanomizunaika.com/11986
個人的な印象としては、糖尿病の食事療法については、適度な糖質制限食で血糖コントロールが劇的に改善する事例を経験しており、塩分過剰摂取、脂質過剰摂取に気を付ければ良い食事療法なのではないかなあと感じています。糖質制限食に関して長期的なエビデンスがないのはその通りなのですが、これだけ社会的に関心度が高まっているので、日本糖尿病学会としても推奨についてガイドライン上も何らかの言及をして欲しいなあという気持ちはあります。また何か改訂があればお知らせします。

【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は6年目を迎えました。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、「お茶の水循環器内科」にリニューアルしました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、急性心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療開始と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。世の中から救えるはずの病気をなくすこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【お茶の水循環器内科の具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科はお茶の水にある循環器内科です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性冠症候群、急性心筋梗塞、不安定狭心症、冠攣縮性狭心症、労作性狭心症、慢性冠動脈疾患、陳旧性心筋梗塞、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の治療継続、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(洞不全症候群、心房細動、心房粗動、上室期外収縮、発作性上室頻拍、WPW症候群、房室ブロック、脚ブロック、Brugada症候群、心室期外収縮、心室頻拍、QT延長症候群、他)
・心房細動、発作性心房細動、抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、カテーテルアブレーション治療の適応評価、カテーテルアブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈瘤状拡大、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症の鑑別、他
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン療法、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、禁煙外来、他
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お茶の水循環器内科までお気軽にご相談ください。

【代表的な診療の進め方】

・胸痛
循環器内科受診の最も多い症状の一つが胸痛です。胸痛の原因は急性心筋梗塞や狭心症など命に関わる心疾患から、肺気胸や逆流性食道炎など心臓以外が原因のもの、肋間神経痛やあらゆる検査で異常を認めないものまで多岐に渡ります。その中でも命に関わる救急疾患として急性心筋梗塞や狭心症かどうかの判断が特に重要です。お茶の水循環器内科では急性心筋梗塞や狭心症の精査除外に特に力を入れています。院内に心電図、胸部レントゲン、心筋トロポニン迅速検査等が常備されており、その場で急性心筋梗塞の可能性があるかどうか迅速な判断が可能です。緊急性を要すると判断した際には速やかにカテーテル治療が可能な救急病院へ紹介します。冠動脈疾患が疑われる場合は飯田橋の心臓画像クリニックにて冠動脈CTや心臓MRIを手配出来る体制が整っています。一通りの精査の結果、心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、命に関わる救急疾患として急性心筋梗塞や狭心症ではないことの精査が重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
胸痛の診療の進め方→http://循環器内科.com/chestpain

・動悸
胸痛と並んで循環器内科受診の最も多い症状の一つが動悸です。動悸の原因は心室細動や心室頻拍等の致死的な不整脈から、脳梗塞の原因となる不整脈である心房細動、貧血や甲状腺機能の異常、特に治療の必要のない正常範囲の脈の乱れである心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈など多岐に渡ります。その中でも命に関わる致死的不整脈や脳梗塞の原因となる心房細動かどうかの判断が特に重要です。不整脈の診療においては症状出現時の心電図記録が鍵を握ります。お茶の水循環器内科ではホルター心電図を5台常備しており、迅速な精密検査が可能です。症状出現時の心電図記録が出来れば症状の原因は不整脈かどうか、不整脈の場合は治療が必要なものか経過観察で問題のないものか確実に診断が可能です。診断が着けばカテーテルアブレーション等の治療が可能な専門病院へ紹介します。一通りの精査の結果、心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、命に関わる致死的不整脈や脳梗塞の原因となる心房細動ではないことの精査が重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
動悸の診療の進め方→http://循環器内科.com/palpitation

・息切れ
息切れの原因は多岐に渡りますが、循環器内科においては心不全の症状かどうか、急性心筋梗塞や狭心症等のの判断が重要です。心不全の有無と程度の評価には採血にてBNPまたはNT-proBNP、胸部レントゲン、心エコー検査が有用です。労作時の息切れのように、冠動脈疾患を強く疑う場合には冠動脈CT、冠動脈カテーテル検査、動悸症状としての息切れの場合には、24時間心電図、ホルター心電図等で精査して行きます。心臓以外としては、呼吸器疾患、貧血、低血圧、甲状腺疾患等、幅広く鑑別が必要です。心不全や何らかの心疾患を認めた場合は、専門病院へ紹介して行きます。一通りの精査の結果、心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、心不全、急性心筋梗塞や狭心症かどうかの判断が特に重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
息切れの診療の進め方→http://循環器内科.com/dyspnea

【循環器内科.com】

循環器内科.comはお茶の水循環器内科が運営する循環器内科を中心とした医療情報サイトです。循環器内科はどうしても専門的な用語や概念が多く登場するあめわかりにくいところが多いですが、正確な情報を整理しておきたいという気持ちで循環器内科.comを始めました。診療の合間の時間で日々更新中です。内容についてわからないことがあればお茶の水循環器内科までご相談ください。
循環器内科.com→http://循環器内科.com 
【冠動脈疾患】
代表的な診療の流れ→http://循環器内科.com/flow
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急性冠症候群→http://循環器内科.com/acs
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動悸の診療の進め方→http://循環器内科.com/palpitation
期外収縮の診療の仕方→http://循環器内科.com/pc
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Brugada症候群→http://循環器内科.com/brugada
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