2020/3/17(火)、非喫煙者の受動喫煙の健康被害を推定した研究「Estimated Worldwide Mortality Attributed to Secondhand Tobacco Smoke Exposure, 1990-2016」の結果をまとめました。世界保健機関(World Health Organization: WHO)は全世界で10億人が喫煙しており、88万人の非喫煙者が受動喫煙(secondhand smoke: SHS)関連で死亡していると推定しています。非喫煙者の受動喫煙の健康被害の規模をより明らかにすることは、非喫煙者、特に子供を受動喫煙の被害から守るために重要です。喫煙関連の死亡数、受動喫煙関連の死亡数を世界規模で算出するために、1990年から2016年まで、煙草の消費量データ、北アメリカ、ラテンアメリカ、カリビアン、ヨーロッパ、中央アジア、中東、北アフリカ、サブサハラアフリカ、南アジア、東アジア、パシフィックの各国のデータを解析しました。受動喫煙の健康被害の指標として、非喫煙者1人の死亡に関与する喫煙を示すPY指数(pack-year index: PYI)、非喫煙者1人が受動喫煙によって死亡するのに何人の喫煙者(平均喫煙期間24年)が関与するかを示すSHS指数(SHSI)として定義しました。解析の結果、全世界でSHS指数は1990年-2016年の31.3(95%CI 30.6-32.0)から52.3(95%CI 51.2-53.5)へと改善、全世界のPY指数も、751.9(95%CI 736.3-770.7)から1255.9(95%CI 1227.2-1284.4)へと改善していました。SHS指数、PY指数は非喫煙者の受動喫煙の健康被害を示しています。この情報は地域政策の立案者にとって非喫煙者を受動喫煙から守ることに役立つことが予測されます。2016年時点において、非喫煙者1人の死亡に52.3人の喫煙者が関与するという結果は大きな課題です。詳しくは論文をご覧ください。
→https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2762812
→https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0327524775
52.3人の喫煙で非喫煙者1人が死亡という数字は衝撃的な数字です。お茶の水循環器内科は待合室等における院内受動喫煙の防止として8時間ルールを制定しています。喫煙者が少数になって来て、少数派の意見が虐げられているなどあたかも被害者かのように装うことがありますが、非喫煙者が喫煙者に健康被害をもたらすことはないのに対し、喫煙者は受動喫煙を通して非喫煙者に健康被害を与えているという事実は重要な情報です。真の被害者は非喫煙者です。
2020/3/17(火)、非喫煙者の受動喫煙の健康被害を推定した研究「Estimated Worldwide Mortality Attributed to Secondhand Tobacco Smoke Exposure, 1990-2016」の結果をまとめました。