2020/4/9(木)、非糖尿病のドナーから糖尿病のレシピエントへ移植された心臓への脂肪蓄積についての研究「Lipid Accumulation in Hearts Transplanted From Nondiabetic Donors to Diabetic Recipients」の結果をまとめました。

2020/4/9(木)、非糖尿病のドナーから糖尿病のレシピエントへ移植された心臓への脂肪蓄積についての研究「Lipid Accumulation in Hearts Transplanted From Nondiabetic Donors to Diabetic Recipients」の結果をまとめました。
糖尿病性心筋症(diabetic cardiomyopathy: DMCM)の初期の病態生理は、高血糖の環境下の心筋細胞への脂肪毒性(lipotoxicity)が関与していると言われています。糖尿病性心筋症の病態生理について多くの前臨床研究がありますが、ヒトにおけるエビデンスは不十分です。非糖尿病の心臓を糖尿病のレシピエントへ移植した例において、ヒトの心移植レシピエントが糖尿病で高血糖でインスリン抵抗性がある場合、脂肪毒性関連の障害を調べました。心臓移植(heart transplanted: HTX)12ヶ月間追跡後、糖尿病のレシピエントに移植された健康な心臓を生検、心筋細胞の形態病理を調べました。メトホルミンは異所性脂肪蓄積を減らす作用があるので、効果を評価するために非無作為化グループを設定しました。「DMCM-AHEAD」(Diabetes and Lipid Accumulation and Heart Transplant)研究は、前向きで現在進行中の研究(NCT03546062)で、心臓移植158例、非糖尿病82例、糖尿病76例、糖尿病例の35例(46%)はメトホルミン内服中でした。心臓移植レシピエントは臨床的に標準的な検査、代謝状態、心エコー、冠動脈CT血管造影、心内膜生検を受けました。生検は免疫反応、オイルレッドO染色(Oil Red-O staining)、セラミド、中性脂肪値などを調べました。脂肪毒性因子、インスリン抵抗性は、逆転写酵素PCR法によって評価しました。結果、糖尿病では心筋細胞に早期に有意な進行性の脂肪蓄積(p=0.019)を認めましたが、非糖尿病例のでは認められませんでした。メトホルミン内服中のサブグループでは、免疫抑制療法(immunosuppressive therapy)は同様に行われているのとは独立して、糖尿病でメトホルミン内服なしと比べて、脂肪蓄積は有意に減少(HR 6.597 95%CI 2.516 to 17.296 p<0.001)を認めました。したがって、脂肪毒性因子は糖尿病がない例に比べて糖尿病がある例で増加、またメトホルミンの使用は脂肪毒性因子を減少に作用しました。糖尿病性心筋症の初期の病態生理は、糖尿病のレシピエントに心臓移植をした例の追跡から、心筋細胞に脂肪蓄積が起こることで始まることがわかりました。メトホルミンの使用は、免疫抑制療法とは関係なく、脂肪蓄積の減少と関係していました。これは糖尿病性心筋症の治療の新しい標的となるかも知れないと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/75/11/1249
糖尿病性心筋症の病態生理として心筋細胞への脂肪蓄積がキーであること、糖尿病性心筋症の原因が、心臓自体にあるのではなく、糖尿病にあることを、心臓移植後の心筋生検で示したユニークな研究です。メトホルミンが移植された心臓への脂肪蓄積抑制効果があることも明らかになりました。


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