2020/4/14(火)、たこつぼ症候群と非ST上昇型心筋梗塞との女性における臨床鑑別スコアの研究「A Score to differentiate Takotsubo syndrome from non-ST-elevation myocardial infarction in women at the bedside」の結果をまとめました。

2020/4/14(火)、たこつぼ症候群と非ST上昇型心筋梗塞との女性における臨床鑑別スコアの研究「A Score to differentiate Takotsubo syndrome from non-ST-elevation myocardial infarction in women at the bedside」の結果をまとめました。
たこつぼ症候群(Takotsubo syndrome: TS)と急性冠症候群(cute coronary syndrome)を区別するスコアは適した検査や管理への誘導のために有用です。人口統計、臨床、心電図所見のみのシンプルなスコアで、女性においてたこつぼ症候群と非ST上昇型心筋梗塞を区別出来ないか検証しました。導出コホートとして、非ST上昇型たこつぼ症候群100例と、非ST上昇型心筋梗塞100例を対象に、入院後第1日目の亜急性期の回診時の心電図所見をもとにロジスティック回帰を行いました。スコアは一時的に導出し、その後、非ST上昇型たこつぼ症候群40例、非ST上昇型心筋梗塞70例を連続して検証しました。結果、5項目とそれぞれの相対的重み付けは、6つ以上の誘導でT波陰性化(T-wave inversion in ≥6 leads)+3、直近のストレス+2、糖尿病−1、心血管疾患の既往−2、いずれかの誘導でST低下(ST-depression in any lead)−3、です。入院時の心電図所見を用いた場合のほうがより良い予測能(AUC 0.87 95%CI 0.83 to 0.92)でした。至適なカットオフ値を1以上とした場合の非ST上昇型たこつぼ症候群の予測能は、感度73%、特異度90%でした。検証コホートとして入院時に適応した場合、AUC 0.82(95%CI 0.75 to 0.90)、陽性適中率78%、陰性適中率81%でした。入院後第1日目、AUC 0.92(95%CI 0.87 to 0.97)、陽性適中率77%、陰性適中率91%でした。この非ST上昇型たこつぼ症候群スコアは実臨床で使いやすく、女性において非ST上昇型たこつぼ症候群と非ST上昇型心筋梗塞を区別するために役立つ可能性があります。 さらなる外部検証が必要と論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://openheart.bmj.com/content/7/1/e001197
たこつぼ症候群と急性冠症候群は似たような臨床症状で受診して来ることが少なくありません。積極的に心エコー等を行わなければ診断が付かない場合も多く、多くの例が潜在的に存在しているのではないかと考えられています。中高年女性、精神的ストレス、冠動脈の支配領域に一致しない全周性のST変化等の所見が特徴的とは言いますが、どれも決め手には欠けます。以前にも同様のスコアの論文がありました。機会があればまとめます。
「A novel clinical score (InterTAK Diagnostic Score) to differentiate takotsubo syndrome from acute coronary syndrome: results from the International Takotsubo Registry」
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ejhf.683


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