2020/4/21(火)、重篤例に対するエピネフリン持続静注の生存率に与える効果について調べた研究「Effect of Continuous Epinephrine Infusion on Survival in Critically Ill Patients: A Meta-Analysis of Randomized Trials」の結果をまとめました。

2020/4/21(火)、重篤例に対するエピネフリン持続静注の生存率に与える効果について調べた研究「Effect of Continuous Epinephrine Infusion on Survival in Critically Ill Patients: A Meta-Analysis of Randomized Trials」の結果をまとめました。エピネフリン(Epinephrine)は強心薬(inotropic)、昇圧薬(vasopressor)として、重篤例(Critically Ill)の血行動態の補助に頻繁に使われています。観察研究ではエピネフリンの使用は、他のカテコラミンや非カテコラミン血管作動薬に比べて有害転帰に関わると報告されています。エピネフリンの投与の影響と危篤例の転帰について、系統レビュー、メタ解析を行いました。PubMed、EMBASE、Cochraneから、2019年まで、エピネフリンの持続投与、ICUか大手術後、無作為化比較対照試験を条件としました。エピネフリンの投与は心肺蘇生中等の急速(bolus)投与は除外しました。一次転帰は入手可能な最も長い追跡における死亡率としました。結果、12本の研究、1227例が条件を満たしました。最も多い対象は敗血症性ショックで、最も頻度の高い組み合わせはノルエピネフリン(norepinephrine)とドブタミン(dobutamine)でした。全死亡の発生は、エピネフリン群(197/579 34.0%)、対照群(219/648 33.8%)で、有意差(リスク比=0.95 95%CI 0.82–1.10 p=0.49 I2 = 0%)を認めませんでした。腎代替療法の必要性、心筋虚血の発生率、不整脈の発生率、ICU滞在時間の長さにおいても差を認めませんでした。系統レビュー、メタ解析の結果、強心薬、昇圧薬としてのエピネフリンの持続静注は重篤例において有害転帰との関係を認めませんでした。
https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2020/03000/Effect_of_Continuous_Epinephrine_Infusion_on.15.aspx
エピネフリンの持続投与は強心作用、抗不整脈作用、抹消循環抑制作用等でアウトカムを悪化させると言われることが多いのですが、メタ解析の結果は否定的でした。悪化をさせないということで、逆に改善もさせないことがわかりました。


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