2020/8/6、SGLT2阻害薬と下肢切断のリスクについて5つの無作為化比較試験のメタ解析「Risk of amputation associated with sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors: A meta-analysis of five randomized controlled trials」の要旨をまとめました。

2020/8/6、SGLT2阻害薬と下肢切断のリスクについて5つの無作為化比較試験のメタ解析「Risk of amputation associated with sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors: A meta-analysis of five randomized controlled trials」の要旨をまとめました。SGLT2阻害薬(sodium glucose co-transporter-2 inhibitors)の有害事象として頻度は低いものの下肢切断(amputation)が知られていますが、下肢切断リスクの上昇はSGLT2阻害薬のクラス作用なのか、特定の薬剤のものなのかは十分にわかっていません。下肢切断リスクとSGLT2阻害薬の使用との関係を調べるために、メタ解析を実施しました。主要転帰は下肢切断リスクです。2020年2月までの複数データベースから収集、抽出を実施しました。組み込み基準は、SGLT2阻害薬と非SGLT2阻害薬、SGLT2阻害薬とプラセボの無作為化対照試験としました。バイアスリスクはCochraneバイアスツールにて評価しました。一次検索で1873件の引用、5つの無作為化比較試験をメタ解析しました。5つの研究は、糖尿病39067例、SGLT2阻害薬21395例でした。下肢切断の発生率は、SGLT2阻害薬群で0.36から3.18%、対照群で0%から2.87%でした。追跡期間は24週間から4.2年間でした。SGLT2阻害薬の使用は対照群と比べて下肢切断リスクの上昇と有意な関連(OR: 1.31, 95% CI: 0.92-1.87, I2 = 75%)を認めませんでした。サブグループ解析では、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、ダパグリフロジンのいずれも下肢切断リスクの上昇と関連を認めませんでした。結論として、メタ解析の結果、カナグリフロジンも他のSGLT2阻害薬も下肢切断リスクを上昇をさせませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32272190
下肢切断リスクとSGLT2阻害薬、特にカナグリフロジンについて一時期騒がれましたが、メタ解析としては有意な関係は認められなかったとの報告です。糖尿病自体の合併症として糖尿病性神経障害、下肢切断はありえるので、何よりも糖尿病自体のコントロールを悪化させないことが重要です。


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