2020/9/22、2型糖尿病に対する週1回インスリンの有用性と安全性を調べた研究「Once-Weekly Insulin for Type 2 Diabetes without Previous Insulin Treatment」の要旨をまとめました。基礎インスリン注射の回数を減らすことは2型糖尿病の治療容認性、アドヒアランスを促進する可能性があります。インスリン「icodec」は糖尿病治療のために開発、週1回投与でデザインされた基礎インスリンアナログです。週1回インスリン「icodec」の有効性、安全性を調べるために、メトホルミン、DPP4阻害薬等を処方されており、HbA1c値7.0から9.5%のコントロール不良の2型糖尿病で、持効型インスリン治療を受けたことがない例を対象に、1日1回のインスリングラルギン100単位を対照群として、26週間の無作為化二重盲検ダブルダミー第II相試験を実施しました。主要評価項目はベースラインから26週間後のHbA1c値の変化としました。安全性の評価項目は低血糖、インスリン関連有害事象等を評価しました。結果、全247例、icodec群、グラルギン群に無作為に割り振りました。ベースラインの特性は2群間で同様で、ベースラインHbA1c値はicodec群8.09%、グラルギン群7.96%でした。26週間後時点におけるベースラインからのHbA1c値の平均変化率は、icodec群-1.33%、グラルギン群-1.15%、HbA1c値はそれぞれ6.69%、6.87%、ベースラインからの変化率の群間差は−0.18%(95% CI, –0.38 to 0.02, P=0.08)でした。低血糖の頻度、重症度II(血糖54未満)、重症度III(重度の意識障害)はいずれも低値(icodec group, 0.53 events per patient-year; glargine group, 0.46 events per patient-year; estimated rate ratio, 1.09; 95% CI, 0.45 to 2.65)でした。インスリン関連主要有害事象は群間差を認めませんでした。過敏症、注射部位反応の発生率は低値でした。有害事象のほとんどは軽度、試験関連の重大事象はないとみなされました。インスリンicodecによる週1回治療は、2型糖尿病において、インスリングラルギン100単位1日1回、血糖降下効果、安全性プロファイルは同等でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2022474
週1回の持効型インスリン「icodec」の第II相臨床試験の論文です。週1回投与で済むインスリンが開発中です。懸念されていた低血糖はそれほど多くなく、投与頻度が7分の1の回数で済むのであれば負担は軽減されるのではないかと期待されています。今後、第III相試験を経て承認かどうかが決まります。
2020/9/22、2型糖尿病に対する週1回インスリンの有用性と安全性を調べた研究「Once-Weekly Insulin for Type 2 Diabetes without Previous Insulin Treatment」の要旨をまとめました。