2020/9/2、成人期における腎機能低下と中年期における認知機能との関係を調べた研究「Decline in kidney function over the course of adulthood and cognitive function in midlife」の要旨をまとめました。

2020/9/2、成人期における腎機能低下と中年期における認知機能との関係を調べた研究「Decline in kidney function over the course of adulthood and cognitive function in midlife」の要旨をまとめました。成人若年期の末期腎疾患(End Stage Renal Disease: ESRD)リスク暴露は中年期の認知機能の悪化と関連しているかも知れないという仮説を検証するために、「CARDIA」(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)研究、2604例、平均年齢35歳、女性54%、黒人45%を対象に、推算糸球体濾過量、アルブミンクレアチニン比を、5年ごとに、10歳から30歳まで測定しました。各受診時、「KDIGO」(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)ガイドラインを用いて、推算糸球体濾過量60未満またはアルブミンクレアチニン比30超、末期腎疾患の中程度から高度リスクを評価、検査の結果、末期腎疾患リスクのエピソードなし、エピソード1、エピソード1超に分類しました。30歳時点で、全般性多領域認知機能評価を実施しました。心血管危険因子調整後、末期腎疾患リスク分類と認知機能の関係を評価するために共分散解析を実施しました。結果、20年間の経過で、試験参加の16%、427例は1項目以上の末期腎疾患リスク暴露を認めました。ハイリスクエピソード群は複合認知機能(p<0.001)、精神運動速度(psychomotor speed)(p<0.001)、遂行能力(p: 0.007)の低値を認めました。関連性は全て、社会人口条件、心血管危険因子と独立していました。住民ベース長期研究の結果、成人若年期の腎機能低下エピソードは中年期の認知機能悪化と関連を認めました。若年期の腎機能保護は中年期の認知機能保持のための戦略となる可能性についてさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32878993
10歳から30歳のeGFR 60未満または微量アルブミン尿のエピソードがその後の認知機能低下と関連していたという報告です。心血管危険因子とは独立していたとのことで、腎機能低下エピソード自体と認知機能が関連があるのではないかという研究です。eGFR 60未満も微量アルブミン尿も、特に自覚症状はないので、健診等で引っかかった場合、精査の必要があると判断した場合には腎臓内科に紹介しています。詳しくは主治医までご相談ください。


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