2020/9/1、急性冠症候群で冠動脈ステント留置後、血管内皮機能、炎症性パラメータ、血小板機能に関して、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロルの影響を比較した研究「Effects of clopidogrel vs. prasugrel vs. ticagrelor on endothelial function, inflammatory parameters, and platelet function in patients with acute coronary syndrome undergoing coronary artery stenting: a randomized, blinded, parallel study」の要旨をまとめました。急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロルの末梢血管内皮機能に与える影響を調べるために、無作為化並行盲検試験を実施しました。主要評価項目はステント留置後の内皮依存性血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation: FMD)の変化としました。全90例、平均年齢62歳、女性81例、糖尿病22例、非ST上昇型心筋梗塞49例を登録しました。臨床パラメータは群間有意差を認めませんでした。ステント留置前の急性期において、全3種類の薬剤は群間差なく(P = 0.73)、血流依存性血管拡張反応を改善しました。ステント留置後、血流依存性血管拡張反応は、クロピドグレル群、チカグレロル群にて低下(both P < 0.01)しましたが、プラスグレル群では認めませんでした。追跡期間中、プラスグレルは、クロピドグレル(mean difference 2.13, 95% confidence interval (CI) 0.68-3.58; P = 0.0047)、チカグレロルmean difference 1.57, 95% CI 0.31-2.83; P = 0.0155)と比べて優越性を認めましたが、この差はステント留置前2時間に薬剤投与を受けた例に限定されていました。チカグレロルはクロピドグレル(mean difference 0.55, 95% CI -0.73 to 1.82; P = 0.39)と比べて優越性は認めませんでした。血流依存性血管拡張反応低値の群においては有意差を認めませんでした。血清インターロイキン-6(P = 0.02 and P = 0.01, respectively)、アデノシン二リン酸に対する血小板凝集能(P = 0.002 and P = 0.035)は、プラスグレル群は、クロピドグレル群、チカグレロル群と比べて低値でした。急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後、プラスグレル治療は、チカグレロル、クロピドグレルと比べて、内皮機能改善、血小板阻害作用の増強、インターロイキン-6値減少と関連しており、予後と関連している可能性があります。この効果は、ステント留置後、薬剤投与後速やかに喪失しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31899473
経皮的冠動脈形成術、ステント留置後の抗血小板薬の選択について、プラスグレル(エフィエント)が、クロピドグレル(プラビックス)、チカグレロル(ブリリンタ)と比べて若干優れているかも知れないという報告です。日本では既にバイアスピリン、プラスグレル(エフィエント)の抗血小板薬2剤併用療法がステント留置後はほぼ標準となっています。詳しくは主治医へご相談ください。
2020/9/1、急性冠症候群で冠動脈ステント留置後、血管内皮機能、炎症性パラメータ、血小板機能に関して、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロルの影響を比較した研究「Effects of clopidogrel vs. prasugrel vs. ticagrelor on endothelial function, inflammatory parameters, and platelet function in patients with acute coronary syndrome undergoing coronary artery stenting: a randomized, blinded, parallel study」の要旨をまとめました。