2020/10/27、4週間の夜明けから日没までの間欠的な断食と、メタボリック症候群の改善、抗がん性の血清プロテアソーム反応の発現との関係を調べた研究「Intermittent fasting from dawn to sunset for four consecutive weeks induces anticancer serum proteome response and improves metabolic syndrome」の要旨をまとめました。

2020/10/27、4週間の夜明けから日没までの間欠的な断食と、メタボリック症候群の改善、抗がん性の血清プロテアソーム反応の発現との関係を調べた研究「Intermittent fasting from dawn to sunset for four consecutive weeks induces anticancer serum proteome response and improves metabolic syndrome」の要旨をまとめました。メタボリック症候群は、中心性肥満、インスリン抵抗性、血圧上昇、脂質異常症等が特徴です。メタボリック症候群はいくつかの癌(肝臓、大腸、乳、膵臓等)の有意なリスク因子です。メタボリック症候群の個別に対する薬物治療は、メタボリック症候群における癌の進行をコントロールするには不十分です。マウスモデルでは、日中の活動時に食物摂取をしないことによって癌の進行が抑制されたとの報告があります。夜明けから日没までの間欠的な日中活動時の断食があります。夜明けから日没までの間欠的な断食の抗がん作用、メタボリック症候群における14項目について、連続4週間、夜明けから日没までの1日14時間以上、飲まず食わず(no eating or drinking)、試験的研究を実施しました。4週間の間欠的な断食の前、4週間後、間欠的な断食の1週間後、血清検体を採取しました。超高感度リキッドクロマトグラフィータンデム質量分析を使用、血清プロテオソーム解析を実施しました。結果、4週間の間欠的な断食群で、4週間の間欠的な断食前の値と比べて、血清腫瘍抑制、DNA修復遺伝子関連蛋白産物(CALU, INTS6, KIT, CROCC, PIGR)、4週間の間欠的な断食後1週間後(CALU, CALR, IGFBP4, SEMA4B)値の有意な上昇を認めました。さらに、4週間の間欠的な断食の第4週の終了時、4週間の間欠的な断食前の値と比べて、腫瘍促進遺伝子関連蛋白産物(POLK, CD109, CAMP, NIFK, SRGN)、4週間の間欠的な断食後1週間後(CAMP, PLAC1)の有意な減少を認めました。また、4週間の夜明けから日没までの断食によって、4週間の間欠的な断食の第4週の終了時、インスリンシングル主要調整蛋白のアップレギュレーションによる抗糖尿病プロテオソーム反応の発現(VPS8, POLRMT, IGFBP-5)、4週間の間欠的な断食後1週間後(PRKCSH)、H2Bヒストン蛋白のアップレギュレーションによる抗加齢プロテオソーム反応の発現にも関連を認めました。抗癌、抗糖尿病、抗加齢血清プロテオソーム反応と同時に、BMI、腹囲の有意な減少、血圧の改善を認めました。本所見から、夜明けから日没までの間欠的な断食は、遺伝子調整と関連、メタボリック症候群の補助的な(adjunct)治療となる可能性があります。夜明けから日没までの間欠的な断食が、メタボリック症候群関連癌の予防、治療となるかはさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33110154
夜明けから日没までの間欠的な断食とは、いわゆる「ラマダン」の断食のことです。ラマダンとは、イスラム暦「ヒジュラ暦」で9月を意味する月で、イスラム歴は太陰暦で一年間は約354日、純粋な太陽暦とは一致しないものです。ラマダンの4週間は、夜明けから日没までの一切の飲食を断つ習わしです。ラマダンの断食の健康作用を調べたというユニークな研究です。


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