2020/10/12、経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術の全死亡、特定原因死亡を比較した研究「Overall and Cause-Specific Mortality in Randomized Clinical Trials Comparing Percutaneous Interventions With Coronary Bypass Surgery A Meta-analysis」の要旨をまとめました。

2020/10/12、経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術の全死亡、特定原因死亡を比較した研究「Overall and Cause-Specific Mortality in Randomized Clinical Trials Comparing Percutaneous Interventions With Coronary Bypass Surgery A Meta-analysis」の要旨をまとめました。経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention: PCI)、冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting: CABG)の試験において死亡率は共通の転帰です。非心臓死亡は治療に関連していないこともあるため、研究の評価項目として、全死亡または心臓死亡、どちらを採用すべきかは議論が分かれています。冠動脈疾患の治療として、経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術を比較した無作為化臨床試験において、全死亡と特定原因死亡の差を評価するために、1946年以降のMEDLINE、1974年以降のEmbase、1992年以降のCochrane Libraryのデータベースにて2019年まで収集しました。研究選択は英語、冠動脈疾患の治療として薬剤溶出性ステントまたはベアメタルステントと冠動脈バイパス術を比較した無作為化臨床試験、死亡率または特定原因死亡を報告した研究としました。ステント留置なしの血管形成術の経皮的冠動脈形成術の試験は除外しました。各試験において、各転帰、長期追跡の公開論文を収集しました。前記事は独立した2人の研究者、非一致の場合は第3の研究者によって、「Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses」ガイドラインに従って行いました。調整後無作為化影響モデルを使用、蓄積しました。主要評価項目は全死亡、特定原因死亡、心臓と非心臓としました。サブグループ解析にて、左主幹部病変の試験も含む、薬剤溶出性ステント、ベアメタルステントを使用した経皮的冠動脈形成術について解析しました。結果、23試験、13620例、経皮的冠動脈形成術6829例、冠動脈バイパス術6791例、男性39.9%-99.0%、年齢範囲60.0-71.0歳でした。追跡期間5.3年間でした。冠動脈バイパス術と比べて、経皮的冠動脈形成術は全死亡(incidence rate ratio, 1.17; 95% CI, 1.05-1.29)、心臓(incidence rate ratio, 1.24; 95% CI, 1.05-1.45)において関連、非心臓死亡(incidence rate ratio, 1.19; 95% CI, 1.00-1.41)は関連を認めませんでした。経皮的冠動脈形成術は冠動脈バイパス術と比べて、5年間の全死亡、心臓死亡、非心臓死亡の高さと関連を認めました。経皮的冠動脈形成術と関連した非心臓死亡の有意な高さは、経皮的冠動脈形成術後の非心臓死亡においても手技関連を示唆しており、心筋血行再建の試験における評価項目としては全死亡を使用することを支持するものでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2771668
経皮的冠動脈形成術と冠動脈バイパス術の比較試験は数多くありますが、主要評価項目としては全死亡を採用するのが良いだろうという論文です。

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